フォースタートアップスは8月17日、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム「STARTUP DB」において、2022年1月から7月31日までを対象とした「国内スタートアップ資金調達金額ランキング」を発表した。
それによると、医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」などを提供するアルムが1位に新規ランクインした。Joinでは、モバイルとクラウドを掛け合わせてリアルタイムに医療関係者間のコミュニケーションがとれるほか、PACS(医療用画像管理システム)などと連携し、必要な医療情報を共有することが可能。
同社は7月に、ディー・エヌ・エーと西武リアルティソリューションズを引受先とする第三者割当増資により247億円の資金調達を実施。今後、遠隔医療に特化した新ソリューションの提供やさらなるグローバル展開を目指し、国内外における事業拡大を目指す。
3位には、自動運転システム用オープンソースソフトウェア「Autoware」を提供するティアフォーが新規ランクインした。Autowareは、名古屋大学や長崎大学、産業技術総合研究所などと共同で開発しており、既に国内外で200社以上に導入されているという。
同社は、7月にSOMPOホールディングス、ヤマハ発動機、ブリヂストンを引受先としたシリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による121億円の資金調達を実施。
今後、自動運転機能のリファレンスデザイン提供、GI基金を活用した総額400億円規模の開発プロジェクトを推進していくという。
18位には、AnyMind Groupが新規ランクインした。同社は、日本国内やアジア各国で、マーケティングソリューションの提供やD2Cブランド、エンタメ、HRなど、幅広くサービスを展開している。2月22日に東証マザーズ市場への新規上場が承認されたが、3月11日に上場延期を発表していた。
7月には、みずほ銀行より当座貸越枠を通じた10億円と、JICベンチャー・グロース・ファンド1号、JPインベストメント1号、プロトベンチャーズ2号、三菱UFJキャピタル7号、日本グロース・キャピタルを引受先とした第三者割当増資により、総額50億円の資金調達を実施している。調達した資金は、既存事業への成長投資や将来的なM&Aへの活用に利用する予定。
トップ20にランクインしている企業のうち、累計資金調達金額が100億円を超えている企業は、アルム、Legal Force、ティアフォー、Spiber、ソフトバンクロボティクスグループ、クリーンエナジーコネクト、Synspective、テラドローン、AIメディカルサービス、Rapyuta Robotics、UPSIDER、Kyash、AnyMind Groupの13社となった。
8月9日時点で、7月における資金調達金額の中央値は約2億5996万円。平均値は約8億3244万円で、資金調達合計金額は約824億1180万円となっている(一部融資や社債での資金調達を含む)。
同社では、8月5日時点での「国内スタートアップ評価額ランキング」も発表している。同ランキングは、登記簿情報に記載されている発行済みの顕在株、潜在株をもとに算出。また、子会社やINCJ主導で設立した企業は除外されている。
7月の国内スタートアップ評価額ランキングでは、LegalForceが評価額802億円で14位に新規ランクインした。同社は、AIなどテクノロジーの活用によって、契約書のレビューやそれに紐づく業務を効率化するAI契約審査プラットフォームとなるLegalForceを提供している。
2019年4月にサービスをローンチし、2022年3月時点で2000社を超える企業、法律事務所が利用しているという。
また、「量子水素エネルギー」などのクリーンエネルギーの研究を行うクリーンプラネットが、7月の4位から順位を上げて6位にランクインした。同社の評価額は1458億円に達し、7月から159億円増加している。
なお、量子水素エネルギーは、水素を燃料としてガソリンの1万倍以上という莫大なエネルギー密度をもたらす次世代のクリーンエネルギー技術。クリーンプラネットは量子水素エネルギーの基礎研究と実用化研究を積み重ねており、世界初の実用化を目指している。
このほか、スペースデブリ問題に取り組むアストロスケールホールディングスや、DX化を支援するプラットフォーム「STORES」を運営するヘイ、ティアフォーが順位を上げている。
累計資金調達額で7月から大きな変化があったのは、新規ランクインしたLegalForce、順位を上げたクリーンプラネット、13位にランクインしたティアフォーの3社となる。
LegalForceは、6月に137億円の資金調達を実施しており、累計資金調達金額は約198億7000万円に達している。
ティアフォーは、7月にシリーズBラウンドで121億円の資金調達を実施し、累計資金調達金額は296億円となった。同調達では、SOMPOホールディングス、ヤマハ発動機、ブリヂストンなどが引受先となっている。
なお、評価額が1000億円を超える10社の中では、半数以上の6社が100億円以上を調達している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」