家庭用の5Gインターネットは、有線ブロードバンドインターネットにも匹敵しうる速度に達する。したがって、5Gネットワークが展開されれば、高速の有線インターネットが整備されていない建物や、未だにダイヤルアップまたはDSL頼みの地方部でも5Gを利用できるようになる。この点でも、キャリア各社はミッドバンド5Gのカバーエリアが広がるのを待っているのだ。
米国のキャリアは、各社とも独自に家庭用の5Gインターネットサービスを提供しているが、AT&Tのサービスは数カ所の地域に限られている。VerizonとT-Mobileはそれぞれのサービスエリアを拡大しつつあるが、より高速な5G接続が利用できる全域にはまだ及んでいない。どのキャリアも無線ネットワークの顧客数は、モバイルの加入者数と比べると見劣りする。Verizonの場合、固定無線の加入者数は2022年3月時点で43万3000と報じられており、2025年までにこれを400~500万まで増やそうとしているという。一方、T-Mobileは4月に100万に達したと発表しており、2025年までに700万を目指す。
キャリア各社は、家庭向けの5Gインターネットがそもそも存在するという事実を顧客に周知することに依然として苦戦している関係で、割引価格でサービスを提供している。例えばT-Mobileの場合、家庭用5Gインターネットは月額50ドルだが、「Magenta Max」というモバイルプランを契約し、条件を満たしている顧客にはそれを30ドルに割り引いている。Verizonのサービスも月額50ドルからだが、同社の条件を満たし無制限モバイルプランを契約している顧客は、毎月の請求額が50%値引きされる場合がある。
5Gはクルマ社会にも入り込んでおり、自動車用5Gを使うと、車から近くの5Gネットワークに接続できる。4G LTEで車をネットワークに接続している場合でも、衝突の自動検知や、マップ、経路案内、交通情報といったクラウドサービスは実現していたが、その機能が本質的にアップグレードされることになる。
5Gネットワークは、無人運転のバックボーンにもなりうる。「CES2021」の開催時に、ラスベガスでは、スタートアップ企業のHaloが独自の配車サービスを立ち上げていた。T-Mobileの5Gネットワークを使ってリモートのドライバーが運転する電気自動車で、乗客を拾うのだ。
一方、これは一般車両が5G周波数を使うようになることも意味する。互いに数十~数百メートル離れたところから、「Sidelink」という技術を使って通信し、前方の車両や歩行者について警告を発する。
「例えば、私が急ブレーキをかけたとしても他の車がそれを感知して、より迅速に反応できるようになるだろう」と、IDCのSolis氏は話している。Sidelinkは車載のチップセットに採用され始めており、2024年か2025年には採用されて主流となっていくだろう、とSolis氏は予測する。
それと同じように、車が周辺の道路設備と通信して、交通状況や接近する緊急車両について警告を発し、例えば代わりに次の道で曲がることを推奨したりできるようになるのが理想だ。道路や街角の状況について、車がリアルタイムで情報を得られるとしたら、そのメリットは想像に難くないだろう。ただし、そのためには車の周辺の近隣や町中についても5G環境の整備が必要になる。
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