玉置CIOが話すパナソニックの変革「PX」--情報システムにメス、カルチャーも変える

 パナソニック ホールディングスは6月30日、パナソニックグループにおけるトランスフォーメーション「PX」(Panasonic Transformation)について、セミナーを開催した。パナソニック ホールディングス 執行役員グループCIO(Chief Information Officer)の玉置肇氏が取り組む情報システムの変革について話した。

パナソニック ホールディングス 執行役員グループCIO(Chief Information Officer)の玉置肇氏
パナソニック ホールディングス 執行役員グループCIO(Chief Information Officer)の玉置肇氏

 玉置氏はP&Gやファーストリテイリング、アクサ生命保険などを経て、2021年5月にパナソニックグループのCIOに就任。「私は、楠見さん(パナソニック ホールディングス 代表取締役社長執行役員グループCEOの楠見雄規氏)に情報システム基盤をなんとかしてくれと言われているが、その前に社員を幸せにしたいと思っている。創業者である松下幸之助氏が『社員は幸せに働いているか』と聞いたというエピソードがあるが、それにつきる。社員全員が幸せに働いてほしい。そう帰結できるようにがんばりたい」と思いを話した。

 パナソニックグループにおける情報システムの歴史は古く、1959年に電子計算機の導入、1973年に電算システムセンター、1993年には情報システム総合センターの発足などを経て、2011年にはグループIT構造改革プロジェクト(Uプロ)を立ち上げるなど、業界に先んじた動きが目立つ。その一方で、2011年には松下電器産業、松下電工、三洋電機の3社の情報システム機能の統合や、2015年にパナソニック コーポレート情報システム社のCISC と旧松下電工の情報システム会社であるPISCを統合するなど、紆余曲折を経ている。

パナソニック ISの成り立ち
パナソニック ISの成り立ち

 「紆余曲折を経てできた組織なので、組織重力が働き、社内政治がある。事業会社もたくさんあり、サイロもできる。サイロができると内向きに重力がかかり、縄張りもできる。これが悪い循環を生み出している。ここに手を入れていきたい」(玉置氏)とパナソニックグループの情報システムに大きくメスを入れる。

 PXは、「デジタルと人の力で『くらし』と『しごと』を幸せにする。」をキャッチコピーにミッション、ビジョン、バリューを策定。ビジョンの中には「One Panasonic IT」を掲げ、「システムを山程作っても幸せになれなかった時代にピリオドを打ちたい」(玉置氏)と新たな方向性を示す。

PXのミッション、ビジョン、バリュー
PXのミッション、ビジョン、バリュー

 玉置氏はグループのCIOを担うとともに、パナソニック インフォメーションシステムズの代表取締役社長も兼務する。「CIOと社長はあえて兼務することにした。なぜならここに手を入れないと情報システム部門は輝きを取り戻せないと思ったから」と理由を明かす。

 変革は「ITの変革」「オペレーティング・モデルの変革」「カルチャーの変革」と3階層のフレームワークで推進。「ITの変革はクラウドや新しいシステム、AIを導入することで、これはどこの会社でもやっている。パナソニックでもここにお金をかけて取り組んでいる。しかしITの変革だけでは数年も経つと陳腐化する。土台を変えないと結局元に戻ってしまう」と課題を洗い出す。

変革のフレームワーク
変革のフレームワーク
オペレーティング・モデルの変革
オペレーティング・モデルの変革

 そこで必要になるのがオペレーティング・モデルの変革だ。「ITはたくさんの人がかかわり、作り、運用している。パナソニックだけでもITに関わる社員は約2700名、協力会社の方まであわせると約9000人にのぼる。そのためITをデリバリーする仕組みも複雑になり、ここをきれいにすることが必要。加えて一番大事なのはITはピープルビジネスだということ。そのためにカルチャーを変革しないとだめ。この部分については、うるさく言っている」と階層ごとの役割について説明した。

 パナソニック内のシステムの数は2000程度あるとのこと。「大きなシステムだけでも1200程度あり、把握しきれていない。しかもこれらのシステムは20〜30年選手。ここを近代化しないといけない。ただ、現行プロセスを変えることなく追加要件を実装していったため、システムは新しくなるというか大きくなってしまっている。これをきれいにしていきたい。プロセスを変え、簡素化して、システムを置き換えていく」と変革に踏み出す。就任から1年ほどで、情報システムの変革に着手し、取り組む玉置氏だが「現時点では耐震工事をしているような状態」と地盤固めの段階だという。

 セミナー内で「カルチャーの変革はよく言われていることだが実現が難しいのでは」と質問が飛ぶと「私のように変革をする人は、ある意味失敗を約束されているようなものでかわいそう(笑)。その時によくあるのが、自分の仲間を一緒につれてくること。私はこれを一切していない。なぜなら中の人に火をつけないと変革は定着しないから。気をつけているのは服装、情報発信、しつこいことの3つ。スーツ、ネクタイではなく、Tシャツなど身近に感じてもらえるような服装にしている。2つ目の情報発信はCIOブログを運営しているほか、SNSなども公開している。これも幹部を身近に感じてほしいから。しつこいはずっと同じことをいい続けるようにしている。この3つを続けることで、結構変わってきたと感じている」と明かした。

カルチャーの変革
カルチャーの変革

 PXは、2021年5〜9月を「PX ZERO」と位置づけ、2021年10月からは「PX 1.0」の状態。「現時点でもPX 2.0のようなことをやっている部分もあり、1.0が完全に終わってから2.0に進むのではなく、2.0の割合が増えていくようなイメージ。2024年後半にはかなりの部分が2.0に入っているという状況にしていきたい」とした。

PXの目指す全体像
PXの目指す全体像

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