NFT機能にB2B市場参入--「ポストコロナ」を見据えたShopifyの100を超えるアップデート

 コマースプラットフォーム「Shopify」を提供するShopify Japanは6月23日、コマースの未来予測と日本に向けた大規模のプラットフォームのアップデートを発表した。年2回実施するグローバルプロダクトリリース「Editions Summer 2022」の一環で、NFTに関連する機能やB2B向け機能など、100種類以上のアップデートを発表した。

 
 

NFT所有者向けにアクセスを限定する「トークンゲートコマース」

 中でも大きな注力分野の1つが、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)だ。

 顧客獲得コストが上昇、ロイヤリティの高いブランドコミュニティの育成が事業成長に欠かせない環境となるなか、NFTに注目が集まっている。同社の調査でも、日本の消費者の4分の1以上(27%)が「2022年にNFTを購入する可能性が高い」と回答したという。

 Shopifyは、NFTを「ブランドロイヤリティを通して顧客とのつながりを強化するユニークな手段」と位置づけ、オンラインストア内の特定の構成部分へのアクセスを特定のNFT所有者に制限する機能「トークンゲートコマース」を開発。米国の一部でベータテストを実施しているという。

 トークンゲートコマース機能を活用すれば、指定したNFTの所有者に対し、オンライン上の特定の商品、ディスカウント、コレクションなどへのアクセスが提供できる。例えば、ロイヤルティーの高い顧客向けに、特定ブランドのパーソナライズしたストアへのアクセスを提供する、といったことが可能だ。複数事業者とのコラボレーションに対応し、あるブランドのNFTで別ブランドのストアへアクセスする、といった仕組みの設定もできるという。

 Shopify Japan 日本カントリー・マネジャーを務める太原真氏は「オンラインでも、ただ物を買うという体験だけでない、事業者やクリエイターとつながるコネクションを提供できる」と補足した。

Shopify Japan  日本カントリー・マネジャー 太原真氏
Shopify Japan 日本カントリー・マネジャー 太原真氏

B2B市場に参入--「卸売販売方法を抜本的に改善する」

 日本でB2B向けに販売する事業者に向けたサービスの提供も開始する。334兆9106億円にも及ぶ収益機会があるとされる日本のB2B市場に参入し、卸売販売方法を抜本的に改善すると説明している。

 具体的には、従来からShopifyが消費者向け事業を展開するD2C向けに提供する「オンライン・ストア・エクスペリエンス」と同等の機能を、B2Bでも提供する。大企業向けの卸販売や一括販売を容易するツールなども備えるという。いずれも同日から利用できる。

 例えば、特定の顧客のみに適用される固定価格や、自社の全商品を対象とした割引小売価格の設定、海外の顧客向けの通貨や為替レートの変更などが可能。「Acumatica」「Netsuite」などのERPソリューションとの連携にも対応する。支払条件を自動で設定する機能の導入にも対応するという。

 太原氏は、「OMOの課題として、基幹システムとの統合というニーズが多い。オフラインのPOSシステムをあわせ、今は多くの事業者が3つシステムをそれぞれ使っている」とし、参入したB2B市場が持つ課題を語る。「ShopifyにはオフラインのPOSシステムもある。eコマース、B2B、店舗の3つのシステムを統合し、売り上げや在庫の管理、レポートなどが集約できる」と語った。

オンラインとオフラインが統合する「ポストコロナ」を見据えて

 Editions Summer 2022ではそのほかにも、ShopifyのPOSアプリを利用する小売事業者に向けた、近隣顧客に商品の入荷情報を自動的に通知できるGoogleの「ローカル在庫広告」との同期機能や、ホスティング、セキュリティ、コードのバージョン管理といった課題を抱えることなく、バックエンドレイヤーの拡張やカスタムコードによる置き換えなどができる開発者向けの「Shopify Functions」など、さまざまなアップデートを発表した。

 太原氏は、「今回の大きなテーマは、オンラインとeコマース以外の部分。本社がある欧米では、“ポストコロナのリテール”のような、新しい世界観の構築が進んでいる」とし、ポストコロナの世界を見据えたものと説明。毎日オーダーを処理するだけで精一杯という状況が一段落し、eコマースやオンラインへの注力から、新しい取り組みの模索や、OMO、基幹システムとの統合などへと論点がシフトしつつあるという。

 「Shopify Japanとしても、コロナ禍となった直近約2年は商品の数や取扱金額などの全てのKPIが急成長したため、日本国内へのサポートチームの設置など、日々入ってくる事業者からのニーズ対応を繰り返していた。(今回のアップデートで)ビジネス全体をShopifyのプラットフォームでマネージメントする、という目標に向けて大きく進んだ」と、今回のアップデートを評価した。

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