何が起きたのか
非営利調査メディアThe Center for Investigative Reportingのポッドキャスト「Reveal」と非営利団体The Markupの共同調査の結果、Facebookが妊娠中絶について調べたユーザーに関する個人データを収集していることが明らかになった。
何が問題なのか
米最高裁が連邦政府の中絶権を認めた判例を覆えそうとしていることを示す意見書がリークされたことを受け、議員やプライバシー専門家は、テクノロジーが悪用される可能性に懸念を示している。
Facebookが、反中絶団体が運営する危機妊娠センター(CPC)のウェブサイトを訪問した人々のデータを収集していると報じられ、プライバシー専門家などは、中絶希望者の情報が悪用される可能性があるという懸念を強めている。
非営利調査メディアThe Center for Investigative Reportingのポッドキャスト「Reveal」と非営利団体The Markupは、約2500のCPCのウェブサイトを分析し、そのうち少なくとも294のウェブサイトがFacebookと訪問者情報を共有していることを確認した。訪問者情報の中には、中絶を検討しているか、緊急避妊薬や妊娠検査薬を入手しようとしているかといった機密性の高い個人情報も含まれていた。
妊娠中絶の権利を認めた画期的なロー対ウェイド裁判の判決を破棄する可能性を示す最高裁の意見書草案のリークについて米メディアPoliticoが報じて以来、こうした個人情報が中絶希望者の特定に利用されるのではないかという懸念が高まっている。5月には、米連邦議会議員らがGoogleに対し、ユーザーの位置情報の収集と保持をやめるよう要請した。こうした情報が中絶希望者の特定に利用される可能性があるためだ。最高裁の判断はまだ確定していないが、中絶の権利に関する合衆国憲法上の保護が打ち切られる可能性がある。
RevealとThe Markupは、中絶について調べている人に関するデータをFacebookがどのように使っているのかは不明だとしている。
プライバシー専門家はこうしたデータが、中絶を違法とする州で、中絶行為を非難する人々により、中絶希望者の特定に使われる可能性があると指摘する。また、中絶反対派の診療所がこうしたデータを使い、中絶希望者をターゲットとする広告や偽情報を表示することで、中絶を思いとどまらせようとすることさえ可能になるとしている。
Facebookを運営するMetaの広報担当者、Dale Hogan氏はRevealとThe Markupに対し、同社のシステムは「機密の可能性のあるデータは除去するよう設計されており」、Facebookのアプリやウェブサイトが同社のビジネスツールを介して「人々に関する機密情報」を送ることは、Facebookの規則に反すると語った。同氏は米CNETにも同じコメントを提供した。
RevealとThe Markupは、Facebookのフィルターが機密データを除去したかどうかは不明だとした。プライバシー専門家は、データの誤用を防ぐ方法として、Facebookのフィルターを強化するか、ウェブサイトが訪問者の行動履歴を追跡できるようにする同社のツール「Metaピクセル」を排除することを提案した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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