プレミアリーグは、海賊版サービスを供給している者に対して法的措置をとれるよう、世界各国の法執行機関とも協力している。例えば、シンガポールとマレーシアでは、メディアプレーヤーアプリケーションの「Kodi」をインストールしたセットトップボックスの販売と、それを使って海賊版コンテンツにアクセスすることを違法とする判例を確保した。
「今から3年前、初めてシンガポールに訪れたときは、店頭でこうした(Kodi)デバイスを買うのは、いとも簡単だった。気持ちよく購入できるようになっており、しゃれたショップに買いにいくと、感じのいい店員がいて、うまいブランディングで素敵なデバイスを売っていた。商品パッケージもきれいだった」とPlumb氏は振り返る。
「だから、われわれが特に力を入れたのは、そうしたショップでの販売を止め、町から締め出すことだった。(中略)だからこそ、こうしたデバイスを販売するのを犯罪行為として定めたのだ」
「今では、この手のショップを定期的に捜査しており、今後はおとりとして購入したうえで法的な手続きをとることも予定している。この数年で、こうしたショップは80%も減少した」
一方、タイではEPLが特別捜査局と緊密な協力態勢をとり、摘発を実施したり、地元警察が海賊版の業者の拠点を不意に訪問する「抜き打ち」捜査を進めたりしている。
ただし、海賊行為に関しては、どの国でも法律の対応が進んでいるわけではない、とPlumb氏は認めている。
「ロビー活動もいろいろと行っているところだ(中略)。規制を明確にしたいといつも思っているし、規制は技術の進化に順応したものであってほしい。それが課題の1つだからだ。海賊版の業者の行動は実に迅速であり、法律や訴訟の手続きは呆れるほど遅い。この2つの折り合いをどうつけるかが、特に大きい難題となっている」
Kodiをインストールしたデバイスの販売は、実店舗の店頭からは徐々に姿を消しつつあるが、海賊版の業者は他の経路で販売する可能性がある、ということもPlumb氏は認めている。
「こうしたショップはオンラインに移行すると予想しているので、それに対応する準備が必要だ。オークションサイトや、ECプラットフォームの『Lazada』も捜索している。2021年には、Lazadaから数千の商品を削除した」(同氏)
「次は、どこに移行するか。独自のウェブサイトに移っているほか、『Facebook』のプロフィールを作成する可能性もあるので、Facebookにも捜索の網を広げ、見つければFacebookから取り除く。次の動きを常に警戒している必要があり、すなわち長期戦を覚悟しなければならない」
Plumb氏は取材の最後に、結局のところ、あらゆる海賊行為対策はファンを守ることが目的だ、と語った。
「この世界のどこかに、ひいきのチームの試合を見るために普通では考えられないくらいの早朝に起き出す人がいる。彼らは実際に会場で観戦したことはないかもしれない。しかしこういう人たちは、紛れもなく熱烈なファンだ。だからこそ、こうしたファンを守ることが大切なのだ。(中略)そんな人たちがいることを考えれば、ファンを守ることが、間違いなく大切だ」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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