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儲け話や美容、出会い系のトラブルも--「18歳で成年」時代に新成年が注意すべきこと

 4月、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられた。これによって、18、19歳の消費者トラブルが増えると言われている。理由と被害実態、対策について解説したい。

18、19歳は未成年者契約取消権の対象外へ

 全国の消費生活センターなどに寄せられる相談を見ると、20歳代の相談件数は未成年と比べて多く、金額も高額になっている。

 18歳と言えば高校生か高校を卒業したばかりという年齢。消費経験が多いはずはなく、契約についての知識や警戒心も乏しい状態だ。ところが、クレジットカードが作れ、消費者金融でローンも組めてしまう。

 つまり、収入はまだ少なく、知識や警戒心もないが、借金やローンは組めることで、さまざまな消費者トラブルに巻き込まれてしまうのがこの年代の特徴なのだ。そして、SNSやマッチングアプリ、新しい出会いなどから、思わぬ契約を結ばされてしまうことがあるのだ。

 しかも大学入学で一人暮らしを始めたばかりなど、保護者に気軽に相談できる環境ではない場合もあるだろう。

 これまでは、親権者の同意なしによる未成年の契約は、原則として取り消すことができる「契約取消権」によって守られていた。ところが、民法の改正により18歳以上であれば契約が成立することになり、契約が取り消せなくなったのだ。

新成人が気をつけたい消費者トラブル10選

 国民生活センターは、新成人である18、19歳に向けて、気をつけてほしい消費者トラブル10選を公開している。

 まず、副業、情報商材やマルチなどの「もうけ話」トラブルだ。

 コロナ禍で保護者の収入も下がり、若者世代も自分でお金を儲けなければならない、節約しなければならないという意識が強い。それ故、大学生の間で、副業詐欺や情報商材、マルチ商法などのトラブルが蔓延している状態だ。そもそも確実に儲かるということはありえない。あまりにおいしすぎる話は裏があると考えるべきだろう。

 エステや美容医療などの「美容関連」トラブル、マッチングアプリなどの「出会い系」トラブル、デート商法などの「異性、恋愛関係」トラブルも多い。

 恋愛に関心が高い年齢であり、コンプレックスを刺激されて高額なエステや美容医療等に手を出したり、マッチングアプリで知り合った相手に詐欺にあったりするなどの被害が起きている。恋愛感情を悪用して高額商品、サービスの契約を結ばされることもあるので、注意が必要だ。

 誇大な広告や知り合った相手からの勧誘など「SNSきっかけ」トラブルも目立つ。日頃からSNSに接する時間が長く、知らない相手と交流することにも抵抗がない世代のためだ。SNSの投稿を鵜呑みにせず、知り合った相手を信じすぎないことも大切だ。

 就活の不安につけこんで高額セミナー代を支払わせるなどする就活商法や、モデル、タレントなどのオーディションに合格したからレッスン代を支払うよう求められるオーディション商法など、「仕事関連」トラブルもある。不安や期待感につけこむタイプの詐欺というわけだ。

 新生活をする際、賃貸住宅や電力の契約の機会も増えるが、解約時に返金がないとか、高額な原状回復の費用を求められたり、管理会社と関係あるように見せかけて契約させたりといった手口もある。「新生活関連」トラブルだ。契約や解約の条件を事前に確認することは大切だ。

 クレジットカードの使い方などに慣れていないため、消費者金融からの借り入れやクレジットカードなどの「借金、クレカ」トラブルが多いことも特徴だ。断っても借金やクレジット契約をさせてまで強引に契約させようとする業者もいる。また、リボ払いなどもリスクも知らないことが多いため、注意が必要だ。

 他の年代と同様、初回のみ無料や、安価で2カ月目以降は高額、数カ月間解約できないなどのいわゆる「定期購入」トラブル、スマホやネット回線などの「通信契約」トラブルもある。

 契約に不慣れ故、契約書を確認しなかったり、強引に契約させられてしまったり、騙されてしまうなどのパターンが多いことがよく分かるだろう。

 筆者は大学で講義を持っているが、大学生相手にアンケートをとると、「○十万円騙されたことがある」「友達がマルチに手を出している」「情報ビジネスに誘われた」などのコメントが目立つ。「友達をマルチから引き離したい」と相談されたこともある。このような被害は決して珍しいことではなく、残念ながら誰もが経験し得ることになってしまっているのが実態なのだ。

NO借金、保護者や相談機関への相談が大切

 最終的には消費者としてのリテラシーを高め、情報の真贋を見極めたり、困ったときの対処法を知り、身につけたりする必要がある。しかしそれまでの間、若者たちがこのような消費者トラブルにあわないためには、どうすればいいのか。

 契約は、契約書を確認し、解約の条件なども確かめ、自分の支払い能力を考えた上で、冷静にするべきものだ。特に高額な契約の場合は、その場で契約を求められてもすぐに決めずに一度持ち帰り、保護者や信頼できる年上の友人などに相談してから決める習慣を持とう。

 契約する場合も、あくまで自分が使えるお金の範囲に止め、借金やローンを組んでまでしないことが大切だ。

 契約上でトラブルがあった場合は、消費者ホットライン(電話番号:188)にできるだけ早く相談しよう。相談員がトラブル解決について具体的にアドバイスや支援をしてくれる。クーリングオフできる場合もあるが、クーリングオフできる期間は決まっているので、その意味でもできるだけ早い相談が大切だ。

 4月から、高校の家庭科で金融教育が始まっている。内容は、家計の構造や生活における経済と社会との関わり、家計管理、生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について、ライフステージや社会保障制度などと関連付けて考察することとなっている。具体的には、個人の資産管理、ローンやクレジットカード、貯蓄、保険、株式などの基本的な金融商品についても学ぶという。

 学校現場でもこのように教育は始まるものの、それでも即座に経験不足や知識不足を補い、被害を完全に防げるとは限らない。保護者世代も子ども世代には今このような被害が増えていることを知り、子ども世代には困ったことがあったらすぐに相談するよう伝えてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。

公式サイト:https://www.akiakatsuki.com/

Twitter:@akiakatsuki

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