本書はタイトルの通り、ロシアの軍事について日本人の専門家が書いた1冊だ。出版されたのは2021年5月、今のロシアがなぜこのような行動に出ているか、そのヒントがちりばめられている。予見的な指摘も少なくなかった。
軍事の専門家という観点から、ロシアの国防や外交の文書をつぶさに読み解いているのはもちろん、欧米を中心とした「西側」のロシア専門家の見方を幅広く分析、紹介し、また持論も展開している。
紙幅の関係で紹介しきれないのが残念だが、「演習」に関するロシアの訓練実績を時系列で細かく追い、その内容や狙いの変化を的確に捉えている。軍の強い反発に「驚く」プーチン大統領の様子など、内実が事細かに描写され、さらに興味深い。
そのほか、択捉島を「衛星画像サービスで確認」するといった、独自の視点が多々盛り込まれている。「西側」と見られている日本が取るべきスタンスについても示唆に富む。
今、時々刻々と変化する世界情勢を読み解くうえで、視座を高めてくれることは間違いない。
今回ご紹介した「現代ロシアの軍事戦略」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」