いま話題の「メタバース」とは--知っておくべき5つのこと - (page 2)

Andrew Morse Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 編集部2022年02月14日 07時30分

3.メタバースはどのような世界になるのか

 ヘッドセットを必要とするようなリッチな「メタバース」が想定しているのは、没入感のある360度のデジタル世界だ。ユーザーは自分でデザインしたアバターを持ち、デジタル資産を所有する。所有権はブロックチェーンに記録されることになるだろう。デジタル世界に土地を購入し、バーチャルな家を建て、友人(少なくとも友人のアバター)を招いてもてなすことも可能になるかもしれない。

 これを絵空事だ、ばかげていると思う人もいるかもしれないが、デジタル世界の土地を買って一儲けしようという動きはすでに始まっている。カナダの投資会社Token.comは250万ドル近くを投じて、「ジオシティーズ」やSecond Lifeの流れを汲む3Dプラットフォーム「Decentraland」の仮想資産を手に入れた。Decentralandでは、資産の売買はイーサリアムのブロックチェーンを利用するトークンを介して行われる。

 不動産よりも体験を求める人もいる。例えば「Roblox」や「フォートナイト」では、メタバースの簡易版と言えるような体験ができる。これらのゲームはZuckerberg氏が描くメタバースほどの没入感はないが、未来を垣間見る機会を与えてくれる。

 人々がインターネット上で行っている活動はすべて、メタバースでも実現する可能性がある。ちょっとしたゲーム、Zoomを利用したテレプレゼンス、刺激的なVRやAR、いくつものソーシャルメディア。これらを組み合わせて、楽しさや便利さを実現しようとする試みがあちこちで展開されることになるだろう。

4.メタバースにアクセスするために必要な装備は何か

 この質問への答えは、どのメタバースを目指すかによる。Metaは同社のVRヘッドセット「Meta Quest 2」の売り込みに余念がない。このヘッドセットは300ドル(日本では税込3万7180円~)するが、オールインワン型なので別途PCやゲーム機を用意する必要はない。VRヘッドセットは他にも多くの企業から出ている。例えばValve、HTC、HP、ソニーは、PCやPlayStation 4/5で動作するヘッドセットを販売中だ。年内にはさらに多くのヘッドセットが登場し、その一部はスマートフォンと連動するようになるだろう。

Oculus Quest 2
提供:Scott Stein/CNET

 この他、MicrosoftやMagic Leapが製造するARヘッドセットもある。ARヘッドセットは、現実世界にデジタル情報を重ねて表示するもので、比較的高額だ。Qualcommなど、複数の企業がARグラスとスマートフォンを連携させる方法を編み出そうとしているが、これまでのところ、ほとんどのアプリケーションは実験的なものかビジネスに特化したものにとどまっている。SnapのARグラスや、「NrealLight」のようなスマートグラスを見る限り、多くの人が購入を検討するようになるまでには、まだ多くの作業が必要となりそうだ。

 「Roblox」や「マインクラフト」のような既存のメタバースは、PCやタブレット、スマートフォンからもアクセスできる。360度の没入体験は望めないが、現在の人気ぶりを見る限り、魅力的なプラットフォームであることは間違いない。

5.メタバースはどこから来たのか

 「メタバース」という言葉が最初に使われたのは、1992年にニール・スティーヴンスンが発表した小説「スノウ・クラッシュ」の中だ。主人公のピザ配達員は、オンラインの仮想ファンタジー世界に入り浸っている。2011年には、オアシスという名のメタバースに人々が集う世界を描いたアーネスト・クラインの小説「ゲームウォーズ」(原題「Ready Player One」)が発表された。この小説はFacebookのVRヘッドセット「Oculus Rift」の誕生にも影響を与えている。

 現実世界では、2003年にLinden Labが仮想世界「Second Life」の運営を開始する。自動車会社やレコード会社、コンピューターメーカーがそして米CNETも)この世界にバーチャルな拠点を開設した。Second Lifeは大ブームを巻き起こし、人気は徐々に低下したものの、今も運営されている。

 「Minecraft」「Roblox」「フォートナイト」などのゲームもメタバースと呼ばれる。「フォートナイト」は人気シューティングゲームだが、ラッパーのTravis ScottやポップスターのAriana Grandeがワールド内でコンサートを開催し、注目度がさらに高まっている。「フォートナイト」は国際的な音楽ショー「Soundwave Series」も開催しており、エジプトやマリ、日本からもミュージシャンが参加している。この3つのゲームの共通点は、プレイヤーが世界を創造できることだ。これはメタバースという概念の肝でもある。

 コロナ危機が始まって2年、私たちは「バーチャル」の再定義を求められている。未来を見通せる人はいないが、仮想空間に大勢の人が集まることの意味を捉え直す試みは着々と進んでおり、この新たな市場の最初の覇者となるための競争が世界中で繰り広げられている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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