東京大学生産技術研究所(東大生研)とプライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)、パナソニック、豊田通商は、電池の資源・リサイクルに関する産学連携研究を開始すると発表した。電池のサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルと大幅な生産コスト低減を目指す。
共同研究では、ニッケル、リチウム、コバルトの金属資源開発、精錬工程から電池材料の開発製造に至るまでの既存のプロセスを見直し、より電池用途に特化した最適なプロセスを新たに構築することで、CO2排出量低減・生産コスト低減・材料生成リードタイム短縮等の課題解決を目指す資源開発と、電池製造時の廃材・使用後の廃電池から効率的かつ無駄なくリサイクルするための技術開発を推進する電池廃材・廃電池リサイクルの新規プロセス開発を進めていくとのこと。
東京大学生産技術研究所 所長の岡部徹氏は「産学共同研究は数多いが、今回は包括的研究アライアンスという位置づけ。柔軟性と機動力のある研究体制で推進していける。サプライチェーンまでさかのぼって広範囲でできる取り組みは珍しいと感じている」と共同開発における意義を話した。
プライムプラネットエナジー&ソリューションズ 代表取締役社長の好田博昭氏は、「全世界が脱炭素に向け動き始めている。持続可能な社会づくりを目指すために車の電動化、再生可能エネルギーの拡大などが必要だが、その中でもキーデバイスとなるのが電池。とりわけ車については2020年に比べ、2030年は台数ベースで5倍になると予測されており、大量に電池を乗せる車が増える。そのためには、バッテリーEVで多くのコストを占める電池のコスト競争力強化や電池製造時に生じるCO2削減など、電池が抱える課題解決が重要になってくる。この部分は電池メーカーだけでなく、全体で取り組んでいく必要がある」と背景を説明する。
共同研究では、資源~材料製造の工程短縮やリサイクル時におけるCO2排出量の低減に取り組んでいくとのこと。好田氏は「私たちは取り組んできた電池の知見とノウハウをいかし、部材メーカーの方たちとともに電池産業のグリーン化に貢献していきたい」と意気込みを話した。
同じく電池メーカーとして今回の共同研究に名を連ねるパナソニック エナジー社は「東大生研、PPES、豊田通商の3者でスタートしたところ、パナソニックにもお声がけいただき、その役割をしっかりと果たしていきたい。今までの研究開発は高純度を当たり前のようにやってきたが、入っていいものと本当にのぞかなければいけないものを見極め、目線を変えていくのが成功へのプロセスと考える」(パナソニック エナジー社副社長の渡邊庄一郎氏)とした。
豊田通商 金属本部COOの片山昌治氏は「商社としてレアメタル原料やリサイクル現場での知見、ノウハウを提供していきたい。廃電池回収のノウハウも持っているので、そのあたりも活用できれば」とコメント。サプライチェーンの面から、電池のグリーン化を推進する。
好田氏は、2025年以降にEVが増えることを見据え「2025年には間に合わせたい。社会に貢献できる形で実用化していきたい」と今後について話した。
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