ソニーは1月24日、2月1日に開設する新たなクリエイティブ拠点「清澄白河BASE」に、バーチャルプロダクション常設スタジオを新設すると発表した。大型LEDディスプレイとカメラトラッキング、リアルタイムエンジンを組み合わせた撮影手法「バーチャルプロダクション」の取り組みを加速させる。
同スタジオは、ソニーの高画質LEDディスプレイシステム「Crystal LED」のうち、LED画素ピッチ1.58mmで高輝度、低反射を特徴とする、さまざまな環境光下で使用できる「B」シリーズを導入した、国内初となる常設のバーチャルプロダクションスタジオ。
解像度9600×3456ピクセル(幅15.2m×高さ5.4m)のLEDディスプレイを曲面状に配置し、高精細な映像を高輝度、広色域、高コントラストで、バーチャルプロダクションに最適に描き出すという。
照明の反射を抑える低反射コーティングと広い視野角により、自由なカメラワークで撮影可能。さらに、LEDディスプレイを撮影する際に発生する画像ノイズを軽減する「Camera Sync」機能を追加するなど、バーチャルプロダクション向けの機能を強化している。
また、高解像、広色域に対応し、幅広い明暗差のある輝度条件において豊かな階調表現が可能なデジタルシネマカメラ「VENICE」を設置。スタジオ天井には解像度1008×1008ピクセル(横7m×高さ7m)のLEDパネルを設置し、環境光として自然でリアルな被写体への映り込み表現を実現するという。
なお、バーチャルプロダクションによる撮影、制作ソリューションはソニーピーシーエルが提供。映像表現手法と制作ワークフローの開発も進めていく。
ソニーでは、Crystal LEDとVENICEの組み合わせによる色再現、階調表現における親和性が高いため、編集作業の軽減、クオリティの高い映像制作が実現できるとしている。
スタジオの新設にあわせて、ソニー・ミュージックレーベルズ所属アーティスト「SixTONES」の音楽映像コンテンツをバーチャルプロダクションで撮影する。今後は、CM、映画、ドラマ、ミュージックビデオなどの幅広いジャンルの映像コンテンツ制作や、高精細映像のニーズが高い企業のデザイン部門、マーケティング部門といったエンタープライズ領域向けのコンテンツ制作のほか、米国のソニーイノベーションスタジオと連携したバーチャルプロダクションによる制作ソリューションの拡充も進めていく。
人が集まることや移動が制限をされる中、映像制作業界においては、時間や場所の制約にとらわれず撮影可能なバーチャルプロダクションへの期待が高まっている。
一方、同社は、グループ横断の新規事業探索活動(コーポレートプロジェクト)を通じて、各社の強みを生かしながら相互に連携。バーチャルプロダクションに関する取り組みを日米で拡充している。新たなクリエイティブ拠点での映像表現の自由度を高める新しい表現手法や、ソリューションの開発、提供を通じて、クリエイターの思いを形にし、感動を届けることをサポートするという。
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