TikTokの元コンテンツモデレーターが親会社の字節跳動(バイトダンス)を提訴したと、The Vergeが報じた。原告のCandie Frazier氏は、業務の過程で強姦や動物虐待などの「何千もの極端で視覚的な暴力行為」を目にしたと主張している。監視する動画が少なくとも25秒に1回は更新されるため、モデレーターは複数本を同時に監視する状態だったという。勤務時間は1日12時間だった。原告は、会社がモデレーターのメンタルヘルス保護のための十分な手段を講じていないと主張している。
報道によると、訴状にはFrazier氏が「うつ病や不安とPTSDがもたらす症状などの深刻な精神的外傷」に苦しんでおり、「睡眠に問題があり、寝ると恐ろしい悪夢に見舞われる。夜に眠ろうとして横になっても目覚めたままで、見た動画が頭の中で再生されるということがよくある。重度のパニック発作で消耗している」と記されている。
TikTokの広報担当者を務めるHilary McQuaide氏はThe Vergeの取材に対し「進行中の訴訟についてはコメントしないが、当社は従業員と請負業者に対して配慮のある職場環境の促進に努めている」と述べ、さらに「当社のセーフティー部門は、TikTokプラットフォームとコミュニティーの保護を支援するという重要な業務に関して外部の企業と提携しており、モデレーターが精神的、感情的にサポートされていると感じるられるよう、さまざまなウェルネスサービスを拡大し続けている」とした。
コンテンツモデレーターが雇用主を訴える例は他社でも発生している。2018年に提起されたFacebook(現Meta)に対する訴訟は2020年5月に和解が成立し、Facebookは原告らに総額5200万ドル(当時のレートで約56億円)を支払った。2020年9月にも元モデレーターがYouTubeを提訴している。
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