信号の情報などと連携した自動運転移動サービスの実証実験--インフラ側からの走行支援は都内初

 大成建設、ティアフォー、損害保険ジャパン、KDDI、アイサンテクノロジー、日本信号、大成ロテック、プライムアシスタンスの8社は12月15日、第5世代移動通信システム(5G)を活用した自動運転移動サービスの実証実験を実施すると発表した。2022年1月22日、西新宿エリアで開始する。

走行ルートイメージ
走行ルートイメージ

 東京都では、「『未来の東京』戦略」で2025年の無人自動運転による移動サービスの実現を政策目標として掲げている。また、「スマート東京実施戦略」においても、自動運転の実用化を目指している。

 特に、輸送ニーズが高く、「スマート東京先行実施エリア」として先行的に5Gを整備する西新宿エリアにおいては、無人自動運転による移動サービスの早期事業化を目指した新たな支援を先行的に実施。都内の他エリアへ横展開し、“スマートシティ東京”の実現を目指しているという。

 今回開始する実証実験では、自動運転移動サービスの事業化に向けて課題を抽出し、採算性やニーズを分析。西新宿の移動環境の整備や地域の魅力創出に向け、5Gの利活用による実証を通じて自動運転移動サービスの可能性を探るという。また、西新宿や都内の他エリアへの早期実用化を促すことも目的になるとしている。

 具体的には、5Gを活用し、車両を信号の灯色、現示切替りまでの残秒数といった信号情報と連携させ、交差点での安全な走行支援を実施する。

 また、信号機や道路に設置したセンサーと連携させ、車両の死角となる範囲の対向直進車、歩行者などを検知。交差点の安全な走行や、駅前ロータリーからの発進などを支援する。そのほか、特殊な塗料を塗布したパネルをトンネル内に設置し、自車位置の推定も支援する。

 都内初となるインフラ側からの走行支援技術を導入しつつ、5Gを活用して大容量の映像データを低遅延で伝送。複数台の車両を同時に遠隔で見守る実証実験になるとしている。

都内初となる自動運転技術の高度化実証内容のイメージ
都内初となる自動運転技術の高度化実証内容のイメージ

 実施期間は、2022年1月22日と23日と、土日を除いた1月26日〜2月4日の合計10日間。トヨタの「JPN TAXI」をベースに開発した自動運転対応車両を使用する。

 なお、参加する8社のうち、KDDI、ティアフォー、損害保険ジャパン、アイサンテクノロジーの4社は、2020年度に車両に設置したセンサーと5Gを活用した実証実験を実施しており、交差点での右折走行や段差、落ち葉などへの過剰な制御機能に課題があることを認識しているという。

 このことから、2021年度は大成建設、日本信号、大成ロテックなどが保有するインフラ側からの走行支援技術と、プライムアシスタンスの遠隔見守り技術を導入した。「自動運転技術の高度化」と「社会実装につながる事業面の工夫」をテーマとして、公道における自動運転移動サービスの実証実験を実施することになった。

 なお今回の実験は、東京都が公募、日本工営が事業プロモーターとなっている「令和3年度西新宿エリアにおける自動運転移動サービス実現に向けた5Gを活用したサービスモデルの構築に関するプロジェクト」に採択されたことを受けて実施する。また、交通事業者の知見を生かし、小田急電鉄が実施パートナーとしてプロジェクトを支援するという。

事業者の名称と役割
事業者の名称と役割

 8社は、同実験の成果を基に自動運転車の走りやすい環境の整備(まちづくり)や持続可能なサービスモデルの検討を進め、2023年度に西新宿エリアでの自動運転移動サービスの開始、事業化を目指す。

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