新型コロナウイルスの感染が拡大する中、米国では死後の遺産相続計画に着手するミレニアル世代が増えている。しかしその多くは、親が亡くなった際に把握しておくべきデジタル情報を知らないままだと、カナダのトロントに本社を置くセキュリティおよびプライバシー企業1Passwordが最新研究で明らかにしている。
同社はデジタル遺言作成サービスを手がける企業Trust & WillおよびWillfulと協力し、25〜40歳のミレニアル世代の米国人1000人を調査した結果を、報告書「Great Wake up Call Report」(大いなる警鐘)にまとめた。
それによると、遺言を作成済みと回答したミレニアル世代の72%が過去1年間に遺言を作成または更新していた。
一方、68%は遺言を作成しておらず、死後に自分のデジタルアカウントをどのように管理してほしいかについて明確な考えを持っているのは38%に留まった。
57%は、遺言執行者にソーシャルメディアアカウントへのアクセス権を与えることについて、電子メール、サブスクリプション、AmazonやTargetなどのショッピングアカウントへのアクセス権よりも重要だと考えている。ただし、優先事項として最も多く挙げられたのは、依然として銀行/金融口座の認証情報の共有(67%)だった。
ミレニアル世代の多くは、死後に関するつらい話し合いをまだ両親としていない。回答者の52%は、デジタル遺品へのアクセスについて両親と話し合ったことがない、または話し合った記憶がないとしている。
すでに遺言を執行した回答者の63%は、故人のアカウントへのアクセスについて、予想以上に困難だったと答えている。
51%は将来、親の遺言を執行することになるが、親のオンラインアカウントのパスワードを知っている、またはアクセスできると述べた回答者は36%だけだった。
パスワードの共有方法については、41%が手書きのリスト、次いで39%が口頭、25%がデジタルな方法(電子メール、クラウドの「Googleドキュメント」、PDF、その他同様のプラットフォームなど)と答えた。皮肉なことに、死後に自分のデジタル遺品へのアクセス権を遺族に与える上で、パスワードを共有することが、ますます重要になっている。
重要書類の保管については、従来の方法が今なお多数派を占めるようだ。81%のミレニアル世代が、出生証明書などの重要書類をファイルキャビネット、金庫、貸金庫などの物理的な場所に保管していると回答している。
回答者の51%がパスワードを頭で記憶しており、25%はパスワードを紙に書いて保管、20%はパスワードマネージャーを使用していた。
1Passwordの最高経営責任者(CEO)であるJeff Shiner氏は、次のように述べている。「特にミレニアル世代は、増えていく自身の家族と、年老いていく両親の面倒を見ること両方の責任の釣り合いを取っていかなければならないため、こうした変化していくプレッシャーにさらされている。相続や死後の計画については長い間、タブー視されてきたが、今こそ、このような話し合いをタブー視するのをやめて、デジタルライフを整理すべきだ。そうすることで、他人に責任を負わせずに済む」
新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、私たちは死についてより深く考えるようになったが、自分の財産、特にますます多くの時間を費やすようになったデジタルプラットフォームへのアクセス権を円滑に譲渡するには、どうすればいいのだろうか。
レポートによると、調査に回答したミレニアル世代の子孫たちは、遺言の管理の不備によって、推定で平均2万2500ドル(約250万円)の財産を失うことになるという。
デジタル遺品を管理する方法を考えておくことで、自分の死後に代理人となる権限を与えられた人が、自分の願いをしっかりと叶えてくれるだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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