KDDI総合研究所は11月25日、五感の再現・表現技術を活用し、オンラインでも「身振り手振り」や「相づち」などの身体的コミュニケーションをハプティクス(触覚技術)で再現するソファ型コミュニケーションシステム「Sync Sofa(シンクソファ)」を世界で初めて開発したと発表した。オンラインでのファンサービスや、YouTuberといった動画配信者のイベントなどでの活用を想定しているという。
Sync Sofaは、コロナ禍を受けてオンラインコミュニケーションが増えた現状、触れ合いを感じるコミュニケーション手段がなく「身近にいる感覚」が不足しているところから着想を得たという。同研究所はxR分野で五感の再現・表現技術の研究開発を進めており、3月には遠くにいる人と「乾杯」や「お酌」といった食事中の身体的コミュニケーションができるグラス型のコミュニケーションシステム「Sync Glass(シンクグラス)」を開発し、技術検証を行っている。
Sync Glassが手を介した触覚にフォーカスしたものだったのに対し、今回発表されたSync Sofaは身振り手振りや相づち、肩や背中をなでるなどの全身を介した触覚体験を提供するため、背面および座面に複数の触感提示デバイスを搭載した。ソファにはそのほか、ディスプレイやカメラ、スピーカー、マイク、振動アクチュエータ、加速度センサーも搭載する。遠隔の相手の等身大映像と音声の伝送に加え、相手の動作や反応によって生じる音と振動を伝送し、あたかも隣にいるかのような感覚を演出する。
仕組みとしては、ソファに搭載した複数の加速度センサーならびにマイクロホンからの信号をもとに、相手の動作や反応を表現する複雑で微細な触感をリアルタイムに合成し、複数の振動アクチュエーターにより音と連動したかたちで体の広範囲で体感させることで感覚を再現する。また、ディスプレイ上でも自身の視点に応じた相手の見え方も忠実に再現し、相手と隣り合う感覚を実現したという。
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