日鉄興和不動産は7月16日、分譲マンションをオンラインで購入できるサービス「sumune for LIVIO(スムネフォーリビオ/sumune)」を発表した。マンション購入の検討から申し込み手続きまでが、24時間365日可能になる。
sumuneは、オンライン上で物件・住戸情報を閲覧し、設計変更、支払いプランなどの購入シミュレーション、個人情報、クレジットカード番号といった申込み情報の入力などを経て、申し込みボタンを押下して住戸の確保が完了できるという、分譲マンション向けのオンラインストア。本人確認にはeKYCを用い、専用アプリ「sumune ダンドリ」による住宅ローン審査での契約後、引き渡しまでをサポートする。
日鉄興和不動産 常務取締役の猪狩甲隆氏は「最近では車や家電など高価格なものもオンライン購入が普及し、急速にEC化が進んでいる。コロナ禍における巣ごもり需要などもあり、非接触、非対面で購入できることは新しい価値観として定着している。しかし、住宅のオンライン購入はまだ一般的ではない。私たちは、業界に先駆けてマンションのオンライン販売を始め、モデルルームでしか買えなかったマンションをいつでもどこでもほしい時に住まいが買える世界を実現していきたい」とsumuneの位置付けを話す。
開発、運用にあたっては、ワンストップ型ITシステム開発スタジオのアルサーガパートナーズがITコンサルティングとシステム開発を担い、住宅ローン手続き専用のスマートフォンアプリ「sumune ダンドリ」の提供は住宅ローンテックカンパニーのiYellが担当。両社は日鉄興和不動産が出資しているスタートアップ企業になる。
寸法入りの図面集や管理規約、長期修繕計画など、従来、モデルルームに訪れないと入手できなかった情報まで開示していることが特徴。販売価格のほか、部屋情報はVRで閲覧ができ、眺望写真なども見られる。設計変更やオプションなども加えながら購入シミュレートも可能だ。
これらの情報閲覧やシミュレートなどは、会員登録不要で使用が可能。申し込み手続き時に個人情報とクレジットカード情報を入力し、申し込みボタンを押下すると申込み金がネット決済され、受付完了になる。住宅ローンは、申し込み後に審査を実施することでスピーディーな申し込みができるとしている。
マンションのオンライン販売を進めることで、モデルルームの廃止や広告費を削減し、余剰分は顧客へ還元する方針。具体的には、sumuneの会員登録により、物件価格や諸費用の支払いに利用できる100万円相当のポイントを一律で付与し、購入時に支払う申込金を一律10万円とすることで、一般的な初期費用に比べ負担が少なく、お得にマンション購入ができるとしている。
日鉄興和不動産 住宅事業本部の御領原雅士氏は「国内外ともにマンション購入の申し込みまでできるオンラインサービスは見当たらないと思っている。海外サービスの中には情報量の面で優れているものもあるが、顧客還元まで至っているサービスはない」と優位性を打ち出す。
sumuneで購入できるのは、日鉄興和不動産が販売中の分譲マンションの一部の1LDK住戸のみが対象になるが、将来的にはファミリータイプまで含めすべての間取りの取り扱いを想定しているとのこと。
オンラインだけでは不安と感じる人向けに、対人相談や現物の体感ができる「プラスワンライフラボ 銀座ギャラリー」を用意し、オフラインの面からも購入検討をサポートする。
「日鉄興和不動産では、マンション販売を大手不動産も依頼する形をとっており、社内で販売しているのは一部。しかし、昨今販売を受託してくれる会社が少なくなってきていた。これは会社にとって大きなピンチだが、これをチャンスととらえ、オンライン販売という大胆な施策に踏み切った。今後は、電子契約の対応やキャンセル待ち機能などを加え、住まいの新しい購買体験をぜひ楽しんでもらいたい」(猪狩氏)とした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス