ニコンは6月29日、新型ミラーレスカメラ「NICON Z fc」を発表した。発売は7月下旬を予定する。
Z fcは、APS-Cサイズセンサーを搭載したクラシックスタイルのモデル。基本性能は2019年に発売した「Z 50」を踏襲。外観デザインはフィルムカメラ「FM2」をモチーフとしている。名称は、「精密機械の感触と高画質の融合」を表す「fusion」の「f」、ニコンの歴史を築いてきたカメラを象徴する「f」という、ふたつの「f」を継承。また、伝統を受け継ぐカメラをより「Casual」に使ってほしいという願いを込めたという。
ボディは「撮るプロセスの楽しみ」を追求し、上部にシャッタースピードやISO感度、露出補正を設定するダイヤルを設置。F値を表示する液晶も設けた。
ボディのサイズはFM2とほぼ同じ。ペンタプリズムやボディ、シルバーと黒のバランスといった部分は、FM2に近い印象で再現した。また、前面の「Nikon」のロゴは、1970~80年代の彫刻文字を再現。接眼目当てもFM2をモチーフとしており、Zシリーズでは初となる丸形となっている。
また、専用グリップ「Z fc-GR1」も設定。Z fcはグリップ部が無いデザインだが、この製品を装着することで、ホールド性が向上する。
兄弟機のZ 50との比較では、背面モニターがチルト式だったZ 50に対し、Z fcではバリアングルモニターをZシリーズで初採用。また、動画撮影時の瞳AF・動物AF使用や、USB給電への対応といった改良を加えている。このほか、ライブビュー表示の消灯が可能となったほか、水準器デザインが変更となっている。
その他の基本性能は、Z 50と同等。センサーの有効画素数は2088万画素で、常用最大ISO感度は51200。フォーカスポイントは209点を備える。画像処理エンジンはEXPEED 6で、連写性能は通常で秒間約5.5コマ、拡張連写で約11コマが可能。ボディ内手ブレ補正機能は非搭載となる。
ニコンはまた、Z fcにあわせて、ズームレンズと単焦点レンズ各1製品を新たに発売する。
ズームレンズは、「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」。APS-Cセンサー対応のレンズとなる。Z 50と同時に発売した製品だが、今回Z fcの発売にあわせ、デザインをシルバーに変更し、外観のイメージを揃えている。
単焦点レンズは、フルサイズ対応の「NIKKOR Z 28mm f/2.8(SE)」。こちらは6月に開発を発表していたもので、通常デザインの製品とは別に、「スペシャルエディション」として外観を変更。FM2の時代に販売されていた、Ai/Ai-s Nikkorレンズを彷彿とさせるデザインとなっている。
Z fcは、ボディ単体のほか、16-50mm f/3.5-6.3がセットのズームキット、28mm f/2.8がセットの単焦点キットの3形態で販売。価格は全てオープンプライスで、想定価格は、ボディ単体が税込約13万円、ズームキットが税込約15万円、単焦点キットが税込約16万円となる。また、レンズ2本の希望小売価格は、いずれも税込約4万5000円。専用グリップの希望小売価格は税込約1万9000円としている。各製品の発売時期は7月下旬を予定しているが、28mm f/2.8のみ年内にずれ込むという。いずれも7月1日に予約受付を開始する。
なお、Z fcのカラーはシルバー1色だが、ニコンでは擬革の張り替えサービスを実施し、カラー変更に対応する。設定色は、ホワイト、ナチュラルグレー、サンドベージュ、コーラルピンク、ミントグリーン、アンバーブラウンの6色。通常価格は4950円だが、発売と同時に「発売記念!プレミアムエクステリア張替キャンペーン」として、無料(配送料は別途負担)でサービスを提供する。なお、サービスは擬革各色の予定数に達し次第終了するとしている
ニコンでは、ミラーレスカメラの市場はコロナ禍で影響を受けたものの、売り上げが減少したモデルはエントリークラスのAPS-C機がほとんどで、ミドルレンジのAPS-C機やフルサイズ機は大きな変化が無いとしている。一方、ニコンにおけるミドルレンジAPS-C機のミラーレスカメラは、2019年発売のZ 50のみ。同ジャンルにおける売り上げは健闘しているものの、ソニーや富士フィルムといった競合が存在しており、さらなるラインナップ強化が検討されてきた。
ここでニコンは、新製品としてクラシックデザインを投入することで、デザイン性や操作の楽しみを求めるユーザーに訴求。従来のニコンユーザーに加え、ファーストターゲットを20~40代のユーザーと設定し、新規ユーザーの獲得を目指す。競合製品に対する高感度性能や連写性能、AFポイント数といったスペックや、Zマウントの描写性能による優位差に加え、ニコン製品の信頼性を訴求していく構えだ。
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