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地方の移動・医療課題をモビリティで解決--MONET、MaaSプラットフォーム本格展開へ

山川晶之 (編集部) 飯塚 直2021年06月10日 18時00分
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 MONET Technologiesは6月10日、自治体や企業などの事業者がオンデマンドバスや医療・行政など各種モビリティサービスをワンパッケージで提供できる新サービスを、8月から開始すると発表した。同日よりサービスの申込受付を開始する。

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 同社は、ソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資会社として2018年に設立されたMaaS(Mobility as a Service)企業。自動運転時代を見据え、地方の移動手段や医療・行政などの課題をMaaSで解決することを目的に、自治体や企業と実証実験を重ねており、同社の配車プラットフォームは、40以上の事業者で活用されているという。

 これまでのモビリティサービスは、1つのサービス内にアプリや車両が閉じたものが多く、他の地域では利用できない単一サービスがメインだった。今回の新サービスは、ユーザー向けにMONETアプリを、事業者向けに管理者システムと、ドライバー向けアプリを提供。まずは、オンデマンドバス(ユーザー側で予約できるバス)とモバイルクリニック(移動診療車)を対象にスタートする。

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「オンデマンドバス」概要図
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「モバイルクリニック」概要図

 事業者向けのシステムは、複数のモビリティ事業者と連携できるようになっており、サービス間で車両を共有することができる。例えば、朝や夕方は通勤・通学向けに巡回バスとして走行させ、日中の時間帯は、通信や買い物利用者向けのオンデマンドバスとして運用するといった、遊休時間を極力減らした効率的な運用が可能となる。

 また、ドライバー向けアプリは、配車の予約状況やそれに応じた最適な運行ルートの確認に対応。管理者システムでは、オンデマンドバスとモバイルクリニックに使用する車両の稼働時間や乗降場所を設定したり、車両ごとの稼働状況などを確認したりできる。

 一方、ユーザーから見た場合、MONETアプリひとつで、オンデマンドバス、モバイルクリニック、出張行政、移動販売、観光、福祉サービスなど、さまざまなモビリティサービスにアクセスできるようになる。地域ごとに利用できるサービスが自動で切り替わるため、MONETアプリをインストールするだけで、全国のモビリティサービスが利用できるようになる。

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ユーザー向けアプリ

 アプリは、オンデマンドバスの予約や行き先検索、時刻表などのアイコンが表示され、希望するサービスをタップすると予約ができるようになる。加えて、運行地域に関するお知らせや、飲食店、スーパーなど、各種施設のクーポンをMONETアプリに配信可能。地域内の回遊性や各種施設の利用率の向上に役立てられるという。行政や事業者から情報を発信する機能も実装予定だ。

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モビリティサービスの予約から店舗情報、クーポンなどの受け取りが可能

オンデマンドバスや移動診療のほか「出張行政サービス」にも

 オンデマンドバスは、タクシーとバスの中間に位置する交通機関で、定められた停留所を巡回する通常のバスと異なり、ユーザーが出発地の近くに設定された停留所までバスを呼び、目的地近くの停留所まで乗車する。群馬県富岡市では、基幹バス、コミュニティバス、オンデマンドバスを、すべてトヨタ「ノア」ベースのオンデマンド車両に統一、効率化を図る。こうしたオンデマンド車両が地域内をくまなく走行することで、“MaaSプラットフォームの下地”として、観光、移動販売など別サービスの車両としても活用しやすくなる。

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福岡県嘉麻市では、デマンド運行型と定時定路型バスのハイブリッドに
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群馬県富岡市では、市内を走行する車両をオンデマンドバスに統一

 モバイルクリニックでは、MONETと長野県伊那市、フィリップス・ジャパンと共同で2019年から実証実験を開始。医療機器やテレビ会議システムなどを設置した架装車両を開発し、看護師を乗せて通院できない患者のもとまで赴く。医師は看護師のサポートを受けつつ、オンラインで診察する。これにより、医師の訪問診療の負担を減らしながら、より対面に近い診察が実現するという。

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 また、ドライバー向けアプリや管理者システムに加えて、複数の診療所・病院で架装車両やドライバーを共有し、低コストで効率的なオンライン診療を行うための専用管理プラットフォームも提供する。同社では、モバイルクリニック用にオンライン診療の予約管理システムも提供しており、共有する車両や配車情報、オンライン診療が可能な時間を一元的に管理することで、複数の診療所・病院間でオンライン診療を管理できるようになっている。

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 同社では、オンデマンドバスやモバイルクリニック以外にも、出張行政サービスを展開。福島県いわき市では、オンライン窓口機能を搭載した「移動市役所」を走らせている。これにより、行政・税務・労働などの市民相談窓口、福祉/栄養/母子健康相談、特定保健指導、遠隔手話相談、総合防災訓練などに適用できる。オンライン窓口が利用できない、かつ市役所までの移動も難しいユーザーのニーズに応える。

新サービスはMONET2年間の「集大成」

 同社の担当者によると、今回の新サービスは「2年間の集大成」であり、「(MONETの)新しいチャプター」になるという。自治体や企業などの事業者と実証実験という形でモビリティサービスを手掛けてきた同社にとって、MaaSプラットフォームとして、サービスを横軸で連携させ、車両を共有するというシステムは今回が初めてだ。共有するという発想も、他のサービスで使えそうな車両が共有されずにそのままになっていたという現場の気づきから生まれたものとしている。

 ユーザーからすると、全国各地のモビリティサービスの窓口になるMONETのアプリだが、すべてを包括するアプリを目指しているわけではなく、中山間地などのモビリティ課題にまずはフォーカスするという。同社は、663社が加入するコンソーシアムを形成しており、中にはJR各社や私鉄各社、物流、飲食、サービス、ITなどの企業が加盟している。こうした企業と連携しながら、面を押さえるようなモビリティネットワークを構築したいとしている。

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MONETコンソーシアムの加盟企業

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