子どもを守るはずのフィルタリングが機能していないワケ--保護者のリテラシーに課題

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 「コレのせいでスマホがうまく使えないんですよ。どうしたらいいですか」と、ある保護者から相談を受けた。コレとは「あんしんフィルター」。つまり、子どものスマホに加入が義務付けられているフィルタリングサービスだ。

 「携帯キャリアでスマホを買うときに『入れたほうがいいですよ』と言われて入れてもらったけど、分からないし邪魔だしはずせないし不便」。そもそもパスワードが分からないどころではなく、保護者が設定・管理するものということもご存知ない状態だった。

 つまり設定もできず、解除もできず、最初にキャリアの担当者が設定したままとなっていたのだ。このように、子どもを危険から守ってくれるはずのフィルタリングサービスが邪魔モノとされてしまったのは、なぜなのだろうか。

「分からないからいらない」という保護者

 2018年2月に「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が改正された。これによって、18歳未満の青少年がスマートフォンや携帯電話の契約や機種変更をする場合、店頭などでフィルタリングサービスの加入・設定が義務化されるようになった。この時勧められるのが、あんしんフィルターだ。

 キャリアごとに「あんしんフィルター for docomo」「あんしんフィルター for au」「あんしんフィルター for SoftBbank」「あんしんフィルター for UQ mobile」など、多くは無料で用意されている。そのほか「i-フィルター」が対応しているキャリアもある。

 子どものスマホにあんしんフィルターアプリを入れてオンにすれば、保護者のスマホのブラウザから設定が可能となる。子どものスマホの利用時間制限をしたり、利用できるアプリを制限したりできるのだ。

 インターネットには通常のブラウザではなく、あんしんフィルターブラウザを使ってアクセスすることになる。あんしんフィルターブラウザには小学校〜高校生以上までの4段階のフィルタリングレベルが用意されている。

 つまり、子どもの利用時間を設定してスマホの使いすぎを防いだり、推奨年齢に応じたアプリのみ使用できるようにしたり、有害なサイトから守るなどの機能を備えているのだ。もちろんパスワードを忘れても再設定できるので、正しく使えば邪魔になることはないはずだし、子どもの利用上で不便があれば設定を変えればいいだけだ。

 しかし、「安全のためには良さそうだから」とキャリアに設定はしてもらったが、設定方法が分からない。それどころかログインしたこともないという事態が起きているようだ。それでは、せっかくの機能も邪魔扱いされてしまうのも仕方がないことかもしれない。

 このような例は特に珍しいわけではなく、「分からないからいらない。スマホがうまく使えなくなるし」と保護者の方から外させた例を知っている。安全のためと言われて必要かなと思ったが、使い始めてみると使いこなせず、そもそも使いこなす意図もなかったためだ。

「スクリーンタイム」を知らない保護者たち

 筆者は、学校や自治体、団体などに対してスマホやSNSの安心・安全利用をテーマとした講演をよく行っている。児童生徒だけでなく、保護者を対象として行うこともある。そのような講演に来る保護者は子どもの安心・安全利用に関心が高いはずだが、残念ながら知識がともなっているとは限らない。

 「お持ちのスマホがiOSならスクリーンタイム機能、Androidならファミリーリンク機能というものがあるんですが、ご存知ですか」。保護者向けの講演で何度同じセリフを言ったことだろう。その度に、少なからぬ方が次のような反応をする。「え、知らない。何ですか、それ」

 「子どもの1日の利用時間を制限したり、夜中の寝てほしい時間帯には使えなくしたり、年令に応じたアプリしか使えなくしたり、課金できなくしたりもできますよ」と基本機能を説明すると、「すごいですね!いいこと聞きました」「初めて見ました。帰って設定しなくちゃ」と言う。

 「子どもが長時間スマホを利用して困っている」「夜中もスマホを利用しているのをやめさせたい」という相談はとても多い。そのような対策ができる機能はすでにあるのに、知らない保護者は多く、そもそも設定を「難しい」「分からない」と拒否してしまうのだ。

 「分からないからキャリアに設定してもらえばいいですか」と言われることがある。最初の設定はしてもらってもいいが、自分で変更できなければ困ることになるだろう。実際、冒頭でご紹介した保護者の方は、お子さんが中学生なのに、フィルタリング設定は「小学生」対象のままで使いづらくなっていた。

 このような機能は一見とても難しく、敷居が高く見えることは理解できる。保護者世代は情報リテラシー教育も受けていないにも関わらず、子どもの対策を求められており、負担に思うことも多いだろう。けれど、このような機能を使わなければ、守れる被害からも守れなくなってしまう。保護者もリスクや対策について学ばねばならない時代になっているのだ。

 必ずしも苦手な方が担当しなくても、保護者のうち詳しい方が担当することにしてもいいだろう。子どもが低年齢のうちは、保護者のうち1人はこのような機能を理解して、設定していただければ幸いだ。設定手順が画面付きで紹介されているサイトは多いし、YouTubeでも動画で手順が見られるので、ぜひ学んで使えるようにしていただければと思う。

高橋暁子

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。

公式サイト:https://www.akiakatsuki.com/

Twitter:@akiakatsuki

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