だけど、奥さんのやり方にばかり合わせていたら、仕事がまわらなくなるわけで。片やいつでも話しかけていいし、話しかけたい人。片や話しかけていいときにだけ話しかけてほしい人。読者のみなさんはどちらですか? いずれにせよ、これはもう分かり合えないですよね(苦笑)。
そこでどうしたか、どうやってお互いに歩み寄ったか。わが家は夫婦会議を緊急開催し、そこで「画期的な2つの方法」にたどりつきました。
僕「おはようございます。今日の予定をシェアします。今日は午前中に1つ、大事な原稿の編集があります。それとお昼の2時からポッドキャストの収録があるので、その2つの作業中は集中させてください」
奥さん「了解です。今日は朝からミシンで服を製作して、ポッドキャストの時間は静かに型紙を作ろうと思います。家事については、10時くらいに洗濯機をまわして、ランチ後に干せるようにしましょう。ランチはどうしますか?」
僕「冷蔵庫にズッキーニが余っているので、それで適当にパスタでも作りましょう。じゃあ11時半ぐらいからランチを作って、食べ終わったころに洗濯物干しましょう。今日もよろしくお願いします」
これがリビングルームのダイニングテーブルで行われる、朝会です。
2つ目の方法が「コーヒー散歩」です。これは、ランチを食べた後、2人で外出をして、近くにあるカフェでコーヒーをテイクアウトして、散歩したりベンチに座ったりしながらしゃべる、というもの。
行き帰りで30分くらい、そのときについでに「夜ごはんはどうするか」「お迎えはどちらが行くか」、相談や買い出しもします。
この2つの施策を始めてから、夫婦仲のギクシャクやリビングルームの変な空気は少しは解消されました。カギは、「今日はいつ、どんなタイミングが特に忙しいのかなど、相手の気分やコンディションをもっと知ることができる」ということ。
そうすれば、お互いにもっと話しかけやすくなるし、話しかけられても「ちゃんと耳を傾けよう」と気持ちを整理して、相手に向き合うことができるようになります。
それに、コーヒー散歩は気分転換にもなりますし、運動不足の解消にもなります。そうやって自分たちを無理矢理にでもパソコンのスクリーンから引き離さないと、どうしてもランチが終わって、なんの雑談もなく、すぐに仕事に戻ってしまいますよね。おかげで夫婦の会話も増えましたし、お互いに気持ちの余裕が生まれたかなと思います。
もちろん、この2つの施策を続けるにも努力が必要です。仕事や時間に余裕があるときはいいけれど、どちらかが忙しくなって、朝会やコーヒー散歩どころではなくなったとき、それでも相手の気分やコンディションを知るにはどうすればよいのか。
たぶん仕事が忙しくなっても、パートナーとの会話の時間を保ち続けることが大切ですし、より本質的には、「パートナーといい関係を築くことが、いい仕事をする上での大前提」と自覚し、仕事やお金よりも、パートナーとの関係性をいつだって優先すべきだろうと思います。少なくとも頭ではそう理解しています(苦笑)。
在宅勤務で、家族やパートナーと向かい合いながら、あるいはドア一枚だけへだてて仕事をしている人も少なくないでしょう。いいこともめんどくさいことも、同居している以上あると思いますが、仕事のチームだけでなく、家庭もうまくマネジメントしていきたいですね。頑張りましょう。
岡徳之
編集者/Livit代表
2009年慶應義塾大学経済学部を卒業後、PR会社に入社。2011年に独立し、ライターとしてのキャリアを歩み始める。その後、記事執筆の分野をビジネス、テクノロジー、マーケティングへと広げ、企業のオウンドメディア運営にも従事。2013年シンガポールに進出。事業拡大にともない、専属ライターの採用、海外在住ライターのネットワーキングを開始。2015年オランダに進出。現在はアムステルダムを拠点に活動。これまで「東洋経済オンライン」や「NewsPicks」など有力メディア約30媒体で連載を担当。共著に『ミレニアル・Z世代の「新」価値観』『フューチャーリテール ~欧米の最新事例から紐解く、未来の小売体験~』。ポッドキャスト『グローバル・インサイト』『海外移住家族の夫婦会議』
Twitter:@okatch
Webサイト:http://livit.media/
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