コンパイラと呼ばれる重要なソフトウェア開発ツールがなければ、コンピューターを制御するために、人間には理解が難しい機械語の世界まで降りていく必要が生じていたことだろう。この功績を称えて、高い権威を誇るチューリング賞の2020年の受賞者に、コンパイラの開発に貢献したAlfred Aho氏とJeffrey Ullman氏が選ばれた。
計算機学会(ACM)は毎年チューリング賞の受賞者を選出し、100万ドル(約1億1080万円)の賞金を授与している。ACMによると、コンパイラ技術の先駆けとなったUllman氏とAho氏の共同研究は、1967年にAT&Tの著名な研究施設であるベル研究所で始まった。
現在、Ullman氏はスタンフォード大学の名誉教授で、コンピューターサイエンス関連のeラーニング企業Gradianceで最高経営責任者(CEO)を務めている。Aho氏はコロンビア大学の名誉教授だ。
両氏は人間にも比較的わかりやすい高いレベルの言語で書かれたプログラムを、プロセッサーが実際に処理する低いレベルの機械語に翻訳するコンパイラ技術の開発に貢献した。
また、ソフトウェアアルゴリズムの開発にも重要な役割を果たした。さらに通称「ドラゴンブック」と呼ばれるコンパイラ技法の解説書をはじめ、自らの研究成果を著作にまとめており、これらの書籍は大きな影響力を持っている。
「2人が作った教本は、学生や研究者、実務者に研修を行う際のゴールデンスタンダードとなっている」と、GoogleのAI部門でシニアバイスプレジデントを務めるJeff Dean氏は発表の中で述べた。Googleはこの賞の賞金を提供している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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