NY州で米国初のワクチンパスポート、IBMの技術活用--導入進展へ期待

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2021年03月30日 13時12分

 ニューヨーク州は米国時間3月26日、デジタル版のワクチンパスポート「Excelsior Pass」のリリースを発表した。このパスポートはIBMのテクノロジーに基づいている。このような技術を公式に公開するのは米国で初となるとしている。さらなる本格的な採用が進む道筋を作るものとなる可能性がある。

デジタル版のワクチンパスポート
提供:ニューヨーク州

 IBMの「IBM Digital Health Pass」は、コンシューマーがワクチンの接種状況や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のテスト結果を安全に、かつプライバシーを保護しつつ共有するための、ブロックチェーンに基づいたツールだ。ニューヨーク州は、Excelsior Pass(3月にテストを実施していた)の使用は任意であり、費用がかからないと説明している。IBMのこのテクノロジーはSalesforceのサービスと連携している。

 ここでのアイデアは、ワクチンパスポートを任意かつ無料で使用できるようにすることで、その採用が大きく進む可能性があるという点にある。このパスポートによってスポーツを直に観戦したり、コンサートやその他のイベントに足を運べるようになるためだ。

 ニューヨーク州の発表ページには、Excelsior Passの採用に関心を持つ企業とコンシューマーに向けた、詳細説明ページへのリンクがある。マディソン・スクエア・ガーデンは今週からこのテクノロジーを使用し始める予定だ。より小規模な芸術施設や娯楽施設、イベント施設でも4月2日から適用が可能になるため、さらなる施設で導入されることが期待されている。

 このテクノロジーを導入するのはニューヨークが初めてだが、他の州もさまざまな催しに向けて会場をオープンし、参加者で満たそうとするのであれば、後に続くだろう。また、企業では入館許可に際して文書が必要となるかもしれないが、アプリを用いるアプローチで情報の共有は容易になるだろう。

 このテクノロジーが幅広く受け入れられていくと考えられる理由のいくつかを以下に挙げる。

  • 各州はロックダウンを解除したいと考えており、IBMの連邦政府および地方政府向け部門はホワイトラベルのテクノロジーを有しているとともに、多くのインストールベースを抱えている。また筆者は、コンシューマーが自らのデータをセキュアな方法で制御できるのであれば、ワクチンとさまざまな場所へのアクセスをトレードオフのように考えるだろうとみている。ただし今のところ、Excelsior Passはニューヨーク州でのみ利用可能になっている。
  • ワクチンを接種している場合、結婚式やソーシャルイベントといった催しでより多くの参加者を招くことができるようになるという規則が制定される可能性がある。
  • Excelsior Passのインターフェースは、スマートフォンを使って航空機に搭乗したことのある人にはおなじみの、QRコードを使用した見慣れたものが採用されている。
  • 他国では既にワクチンパスポートを採用しようとしており、航空会社も同様だ。
  • 主な検査機関は新型コロナウイルスの検査結果を迅速に通知しようとしてるため、人々はタイムリーに結果を入手できるようになるだろう。
  • 企業も詰まるところ、従業員の新型コロナウイルスの検査結果とワクチン接種状況を確認したいと考えるはずだ。企業による自社アプリの開発はさまざまな理由で考えにくいが、州や政府、そしてコンシューマーが支持しているワクチンパスポートを活用することはできるだろう。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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