タクシー配車アプリ「S.RIDE」を展開するソニーグループのS.RIDEとニューステクノロジーは3月17日、タクシーの窓をデジタルサイネージとして広告配信できる車窓モビリティサイネージサービス「THE TOKYO MOBILITY GALLERY Canvas」を6月より開始すると発表した。
これは、タクシーの後部座席側の窓ガラスをデジタルサイネージとして活用するサービス。両社は、タクシー車内にディスプレイを設置してデジタルサイネージとして利用する広告配信サービス「GROWTH」を手掛けているが、次の展開として乗客が乗車していない空車時間に注目。タクシーのサイドガラスをサイネージとして活用する。
ニューステクノロジーによると、東京でのタクシーの平均乗車時間は約18分で、GROWTHではその時間内で完結する広告やコンテンツを設計したという。しかし、1台のタクシーが営業所を出て戻るまでの平均車両走行時間である約870分(14.5時間)のうち、空車時間は平均424分。これはコロナ禍になる前から同様の傾向であり、乗車時間だけでなく空車時間を新しいメディアとして活用したのがCanvasとなる。
サイドガラスには、AGCが独自開発したガラス製透明スクリーン「グラシーン」を搭載。歩行者側の左窓に配置され、車内右側の天井に設置されたプロジェクターからスクリーンに投影する仕組みで、プロジェクターを切れば普通の窓ガラスとして使える。目線の高さに広告を出すことができるため、高い視認率を獲得できるほか、空車時は「乗客を見つけるために人の多い場所に移動する」というタクシーの特性も組み合わせて、100台が1カ月間都内を走行した場合、想定リーチ数は最大600万人におよぶという。
まずは、S.RIDEの株主でもある国際自動車と大和交通が保有する「JPN TAXI」100台に設置。2022年までにS.RIDEに加盟するタクシー事業者など1000台の設置を目指すほか、今後はタクシーの位置情報データと連携し、ロケーションや時間帯に適した広告や情報を表示できるようにする予定。広告だけでなく、例えば夏での熱中症対策の喚起や、迎車時のメッセージングボードとしての使い方も想定しているという。
なお、技術的には動画の再生も可能だが、現行の道交法では動画の投影が禁止と定められており、まずは静止画のサービスとしてスタートする。
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