いとうまい子さんが語った「女優」と「研究者」の二刀流人生--否定されても恩返しを続ける理由 - (page 3)

「人生はRPG」--考え方の“癖”を手放して

 カンファレンス後半のトークセッションでは、モデレーターを務めたCNET Japan編集長の藤井が「いとうさんはなぜ、そんなに行く手を阻まれても、諦めないでいられるのか」と聞くと、いとうさんは「人生はロールプレイングゲームだと思っている」と回答。視聴者からもQ&Aに、「人生はRPGだ!をもう少し説明してください」というコメントが寄せられると以下のように答えた。

 「人って生きていると、いろんな嫌なことがあったり、壁がきたり、悩むじゃないですか。悩むというのは、その人の癖なんですよ。考え方の癖です。でも、RPGって悩まないですよね。いかにクリアするかしか考えないでしょ。たとえばね、感情に流されると、あの人があんなこと言ったから嫌だとか思いがちですけど、もしこれがゲームだったら、ボスが出てきても感情に流されないで、経験値が足りない、じゃあ死んでもいいから何度もやって経験値をためて、たまったら武器も手に入るから、攻略できるねって考えます。だから人生においても、マイナスになるような考え方の癖を取っ払えば、人生がとても楽になって、満足感や達成感も味わえて、突き進んでいけると思います」(いとうさん)

 また、「想いを強く持つことがすごく大事だと感じましたが、どうすれば相手に伝えられるのでしょうか?」という視聴者からの質問に対しては、「相手の気持ちを変えるなんてことは絶対にできない。相手に伝えようとか思わなくていい。自分が思っている強い想いを、ただ言うだけでいい。こちらの言ったことが相手の琴線に触れるか触れないかだけのこと」だと回答。モデレーターの藤井が「言うことは言って、あとは相手次第ということですよね」と投げかけると、いとうさんはこのように続けた。

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 「そこに感情を持っていくと、なんとか気に入られたいがために、自分が本当に思っていることじゃないことまで言ってしまう可能性もあります。そうではなくて、自分がなぜそこを強く思っているか、自分が大事だと思っていることをしっかり伝える。それでダメならやめればいい、みたいな覚悟が大事かなと思っています」(いとうさん)

 コロナ禍における心境や行動の変化についても、いとうさんは「悪かったこともあるが、いいこともどんどんでてきている。捉え方次第」だと話した。将来の捉え方も、とてもしなやかだ。「夢やキャリアとか、前を見てあまり考えていなくて、社会課題の解決はもちろんですが、恩返しをしたいという想いがあるので、やはりそこを軸に、もっと裾野を広げながら、いろんなことをやっていけたらいいなと思っています」と語った。

 最後にモデレーターの藤井が、「最近興味がある技術やテクノロジー」を尋ねると、いとうさんは、CO2を炭素資源と捉え、これを回収して再利用する「カーボンリサイクル」を挙げた。「未来の子どもたちに負の遺産ではなく、住みやすい地球環境を残してあげられる。私にはできないけれど、CO2を分解していく技術がもっともっと進んでいったらいいなと思う」と話した。

 そして、カンファレンス共通の質問である「あなたにとって常識の再定義とは?」という問いに対しては、「常識とは時代や環境によって変化するものですから、そういうことに縛られすぎず、囚われすぎず、生きることが大切かなと思いますね。だからといって、非常識になれということではなくてね、どんな時でも柔軟に対応できるように、思考、気持ち、心を、まるで宇宙空間にいるかのように、自由に、軽やかにしていくことが大切なんじゃないかなと。そうすることで常識はいつでも再定義できるのではないかと思います」と答え、セッションを締めくくった。

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