ディー・エヌ・エーは2月9日、2021年3月期第3四半期の決算を発表。あわせて、取締役兼執行役員最高執行責任者(COO)を務める岡村信悟氏が、4月1日付けで代表取締役社長兼執行役員最高経営責任者(CEO)に就任する役員人事も発表した。現在代表取締役社長兼CEOを務める守安功氏は、4月1日付けで取締役に、6月開催予定の株主総会をもって退任予定としている。また、創業者である南場智子氏は、代表取締役会長を継続するものの、4月1日付けで兼務している執行役員からは退くという。
同日に行われた決算説明会では、守安氏と岡村氏ともに登壇した。
質疑応答において、このタイミングでの退任について質問された守安氏は、代表取締役社長に就任してから約10年になろうとしていることに触れ、「優秀な若手がいるなかで、そのメンバーを引き上げるような組織にしたほうがいいことを考えると、経営のレイヤーから変えていくのがいい」と、組織面での変化が必要であることや「業績について厳しい状況が一段落し、大胆な人事が行えるタイミング」とも語り、これらを総合的に考えてのことと説明した。
新社長となる岡村氏について、守安氏は「経験やスキルにおいて、タイプや持っている強みが違う。マネージメントスタイルについても、私はあまり言葉が多くないタイプだが、岡村はみんなの意見を引き出し、自発的なやる気を引き出していくようなタイプで、リーダーシップの在り方も異なる。新しい経営体制として、これまでとは違うDeNAの良さを引き出していくことに適している」と語った。
岡村氏は社長交代にあたり、自身も守安氏とはタイプが異なることに触れつつ「同じような形ではできないのでどうしようかと悩んだが、私は私の強みを出していきたい。むしろ、楽しんで引き受けようと思った」とコメント。今後の方向性や方針については場を改めて説明したいとしたが、抱負として「まだ若い会社ながらもポテンシャルは高い。特に集まっている人材の豊かさは、大きな希望を抱かせるもの。DeNAはゲームエンタメの世界から社会課題の解決といった領域まで、インターネットやAIを自在に活用しながら、ユニークな事業領域を展開している。守安が南場とともに築いてきた会社の資産や経験を生かし、困難な時代ではあるが、『Delight』を届けられるようにしていく」と語った。
2021年3月期第3四半期の連結業績(2020年4月1日~2020年12月31日)は、売上収益が1029億2400万円(前年同期比12.9%増)、営業利益は253億2000万円(前年同期は441億6100万円の赤字)、純利益は219億3700万円(前年同期は501億7900万円の赤字)となった。
四半期ベースでは、売上収益が341億円(前四半期比12%減)、営業利益(IFRS)が44億円(同47%減)、純利益は28億円(同70%減)。季節性の強いスポーツ事業を除いた売上収益は299億円(同10%減)、Non-GAAP営業利益は57億円(同19%減)としている。
主力のゲーム事業については、売上収益が217億円(前四半期比15%減)、営業利益は35億円(同46%減)。前四半期比では減収減益となっているものの、既存タイトルにおける夏のイベントと、例年第4四半期に向かえる年始の施策、主要タイトルにおける周年イベントなどの谷間の時期にあたるためであり、前年同期比では売上収益が14%増、営業利益は75%増と増収増益となっている。
またライブストリーミング事業については、ライブコミュニケーションアプリ「Pococha」が好調。上期に新規ユーザーが急増した後でもユーザー基盤が形成されており、緩やかながらも成長を持続しているという。今後もさらなる成長や強化を図るとしている。
2021年3月期の連結業績予想は開示を見合わせているものの、第3四半期連結累計期間までの実績などを踏まえ、各段階利益は通期で黒字となる見通しとしている。
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