高知県は1月20日、JA高知県、高知大学、高知工科大学、高知県立大学、IoP推進機構、高知県工業会、高知県IoT推進ラボ研究会などによる産学官連携のもと、デジタル技術を活用した農業のためのプラットフォームとなる仕組みを構築。今回、そのプラットフォームの核となるデータ連携基盤「IoP(Internet of Plants)クラウド」を始動したと発表した。
IoPクラウドは、IoTで接続した農業ハウス内の機器のデータや、高知県全体にわたる農産物の個々の出荷に関するデータなどを、リアルタイムで一元的に集約するクラウド型のデータベースシステム。AWS3など最先端のシステムとセキュリティ技術を活用しているという。
たとえば、生産現場である農業ハウス内の温度、湿度、CO2濃度、カメラ映像、機器の稼働状況などのデータのほか、JA高知県がもつ農産物出荷量のデータなどがリアルタイムにアップロードされ、互いに関連づけられてデータベースに集約されるという。出荷に関するデータの集約については、当初から約3000戸の農家のデータが対象となっており、2023年には県内農家のほぼすべてにあたる約6000戸を目指している。
これらのデータを最大限に活用することで、生産者は要因分析、環境制御ノウハウの磨き上げ、グループでの情報共有、遠隔での監視および、制御、自動制御などを行うことができ、より戦略的に効率よく収穫高を上げることが可能だという。
さらに、高知県やJA高知県による、データの分析に基づいた詳細で即時性の高い栽培指導や、大学等研究機関による植物体の生理に基づいた生育予測などの研究の実証と実装が可能だとしている。
また、同取り組みには、東京大学大学院情報学環 越塚研究室、九州大学、デジタルハリウッド大学、農研機構などの大学や研究機関ならびに、NTTドコモ、富士通、四国電力をはじめとした企業がさまざまな形で参画している。
戦略立案に関しては、高知県 IoP プロジェクトのスーパーバイザーである東京大学情報学環の越塚登学環長と、INDUSTRIAL-Xの八子知礼氏が監修している。
同県では、今後も協働の輪を広げ、IoPクラウドを核としてSociety 5.0時代におけるデータ駆動型の新しい農業を確立・発信していくことで、高知県施設園芸農業の発展、関連産業群の集積と発展、県内大学の魅力向上の実現を目指す。
加えて、連携が可能な機器やソフトウェアの開発を促進するため、APIを公開する。APIの公開により、高度な農業用機器やソフトウェアの市場拡大を図るとともに、その高度化を通じて、生産現場でのさらなる作業効率化を図る。
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