国土交通省は12月22日、実世界(フィジカル空間)の都市を仮想空間に再現する3D都市モデルを整備する「Project PLATEAU by MLIT」を公開した。同日より、プロジェクトの情報を発信するためのティザー版ウェブサイトをオープンしている。
PLATEAUは、国土交通省が進める3D都市モデル整備のリーディングプロジェクト。都市活動のプラットフォームデータとして3D都市モデルを整備し、オープンデータとして公開することで、誰もが自由に都市のデータを活用できるようになる。同省では、Society 5.0に必要不可欠なプロジェクトと定義しており、プロジェクトパートナーには、大学や建設業界、国内大手IT事業者などが名を連ねる。
3D都市モデルとは、都市空間に存在する建物や街路といったオブジェクトに名称や用途、建設年といった都市活動情報を付与することで、都市空間そのものを再現する3D都市空間情報プラットフォーム。都市空間に都市活動情報のレイヤーを重ねることができ、官民問わずあらゆる分野の知見が集積することを想定している。
都市モデルのデータは、「都市計画基本図」などの2次元図形情報と航空測量などによって取得される建物・地形の高さや建物の形状情報を掛け合わせ、建物などの3次元モデルを作成。建物に都市計画基礎調査などによって取得された属性情報(都市空間の意味情報)を付加して3D都市モデルを構築している。
さまざまな都市活動データが3D都市モデルに統合され、フィジカル空間とサイバー空間の融合が実現。これにより、都市計画立案の高度化や都市活動のシミュレーション、分析などが可能になるという。同省では、都市計画・まちづくり、防災、都市サービス創出などの実現を目指す「まちづくりのDX」を推進するとしている。
なお、3D都市モデルのデータフォーマットとして、地理空間情報分野における国際標準化団体であるOGC(Open Geospatial Consortium)が国際標準として策定した「CityGML 2.0」を採用。同プロジェクトでは、CityGMLによって構成された都市3Dモデルを、2020年度中に東京23区をはじめとする全国約50都市で整備・オープンデータ化し、データ整備の過程における知見を整理。「標準製品仕様・作業手順書」等の各種マニュアルを作成し、全国でのモデル整備を支援するという。
今後のスケジュールとしては、ティザー版(Ver0.1)において、東京23区全域を網羅した3D都市モデルや、洪水災害リスク情報をはじめとするいくつかの先行整備データなどを公開。ポータルサイトでは、プロジェクトの進捗プロセスを継続的に発信していくと同時に、3D都市モデルをはじめとする各種データをオープンデータ化。あわせて、3D都市モデルのウェブ実証環境である 「PLATEAU VEIW(Ver0.1)」を実装し、モデルを活用したアイデアソン・ハッカソンの開催告知などを進めていく。
次に、2021年1月から3月にかけて、全国約50都市の3D都市モデルをPLATEAU VIEWにて追加公開し、人流データなどの都市活動データ、ユースケース開発・実証実験を公開。アイデアソン・ハッカソンの結果発表や、PLATEAU VIEWの機能拡充を行う。
4月には、バージョン1.0として、3D都市モデルのデータセットをオープンデータ化。3D都市モデル構築・利活用ガイダンス、データ仕様書、ユースケース事例集などの各種ドキュメントと、コンセプトフィルムなどの追加コンテンツを公開する予定だ。
同省では今後、ティザーサイトやSNSを通じて3D都市モデルやそのユースケースを順次公開し、3D都市モデルの活用による全体最適・市民参加型・機動的なまちづくりの実現に努めるという。
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