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福岡・高島市長と台湾・タン大臣が豪華対談--公共サービスや行政システムを語る - (page 2)

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高島氏:日本でもぜひ取り入れたいシステムです。私自身は社会は新しい考えを取り入れなければいけないと考え、2012年に福岡市をスタートアップの国家戦略特区にし、15の地域とMOUを結びました。国境を越えてスタートアップのビジネスモデルやテクノロジーを社会に実装しようとしていますが、そうした新しいテクノロジーの中には法律が想定していないものがあるかもしれない。

タン氏:台湾ではサンドボックス(砂場)という立法審議中のイノベーションの仕組みがあります。たとえば、空を飛んだり海を走る自動運転車が開発されたら、半年から1年かけてトライアルして、規制を変えるかどうかを決定する。上手くいけば国がお金を出してくれるのでソーシャルアントレプレナーもやりやすくなる。対象は何でもよくて、マネーロンダリングとテロ以外は何でも試せるので、台湾全体が戦略特区だといえます。

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高島氏:それはすごいですね。イノベーションをどんどん起こせるし生産性も上がるでしょう。日本と台湾ではリスクに対する考え方が違うような気がします。日本はゼロリスク神話があり、ダメなら実現できない、自動運転をたった1カ月トライアルするにも、99%がよくて1%事故のリスクがあると恐れて実施できません。

タン氏:運転席や助手席に座る人、つまり進んで何かに向かっている人は何がリスクかよく見えますが、離れて座っている人は何も見えないのでゼロリスクであってほしいと考えてしまう。ですので、サンドボックスは多くの人を近くに招いて取り組んでもらうようにしています。

高島氏:スモールサクセスを市民と一緒に拡げようというのが台湾のやり方ですね。日本でもオンライン診療などできるようになったこともありますが、既得権益者からの反対やネガティブな動きが多いのが残念です。

タン氏:台湾にも既得権はあります。ですが、そうした人たちも社会課題を解決しようという思いは同じで、サスティナブルにはちゃんと関心を持っている。こんな例がありました。ウミガメがプラスチックを飲み込んで死んでいるのを知った16歳の女性が、プラスチックの使い捨てを見直そうという活動を起こしました。そして、メーカーの人たちと話し合いをしたところ、実は彼らは40年前にB型肝炎の感染が拡がるのを防ぐためにプラスチック製品を開発したことがわかったのです。状況が変われば社会課題も変わる。それがわかればお互いやるべきことを共有する方法はあるのです。

高島氏:社会課題について考えている人たち同士の垣根が低く、近い場所にいるから話し合える。台湾では民間の意見を取り入れる仕組みが何かあるのでしょうか。

タン氏:いくつかあります。数万人のアイデアをプールして大まかな合意につなげる仕組みや、私自身は毎週水曜日にオフィスをオープンにして平均20人に会って話をしています。それをYouTubeや文書を通して一般の人とも共有する。透明性を担保するのが大事だと考えています。

タン氏が作っていきたい社会

高島氏:デジタル大臣としてアイデアを駆使し、新しいサービスを上手く実装できている。いろいろ勉強になります。タン氏自身はこれからどういう社会を作りあげていきたいと考えているのですか。

タン氏:AIの利用というとターミネーター的な響きがありますが、いろいろな文化を持つ人たちが意見を交わすことをAIが推進し、集合知にすることでさらに推し進める方法を考えています。たとえば、投票できない16歳のアイデアを法律にして、さらに地球全体に共有したい。私たちは大きな1つの船に乗っているのですから。

高島氏:集合知で社会をアップデートするという発想ですね。福岡市は台湾経済研究院ともMOUを締結しており今後の活動に期待していますが、台湾と福岡市の間でこんなことができそうだと考えていることがあれば教えてください。

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タン氏:日本と台湾はレジリエント(回復力)のあるマインドを持っているという共通点があり、そこからアントレプレナーたちが新しいアイデアを生み出してくれると考えています。対話でアイデアをより広められるようこれからお互いにもっと交流を深めたい。そして台湾の美味しいものも食べてほしいですね。

高島氏:福岡にも美味しいものはたくさんありますので、ぜひ遊びに来てください。

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