オンライン靴店Zapposの元最高経営責任者(CEO)Tony Hsieh氏が死去したことを同社が明らかにした。46歳だった。Hsieh氏は、約20年にわたってZapposのCEOを務め、8月に退任していた。従業員と顧客を幸せにすることをビジネスの目標に掲げていたことで知られる。
Zapposは声明で、「世界は、素晴らしい先見の明を持った、類まれな人物を失った」としている。「私たちが当社の刺激的な元リーダーを失っただけでなく、皆さんの多くも良き指導者であり、友人であった人物を失ったのだと認識している」(Zappos声明)
Hsieh氏は米国時間11月18日にコネチカット州の住宅火災でけがを負い、27日に死去したという。The Downtown Project(DTP)の広報担当者の話としてThe New York Times(NYT)が報じている。家族を訪問していたとみられる。DTPは、Zapposが本社を構えるラスベガスのダウンタウンを活性化するためのプロジェクトで、Hsieh氏が主導していた。
Hsieh氏のストーリーはドットコム業界の「規範そのもの」だ。米CNETの元記者Caroline McCarthy氏は2009年当時、そのように書いていた。同氏は大学在学中にピザの事業を始め、起業家としてのキャリアをスタートさせた後、オンライン広告ネットワークLinkExchangeを共同で創業した。1998年、LinkExchangeをMicrosoftに2億6500万ドルで売却している。
その後ベンチャーキャピタル企業を立ち上げ、投資した企業の1つがオンライン小売業者のZapposだった。Hsieh氏はZapposのCEOに就任した。2000年に160万ドルだった同社の売上高は、2009年には10億ドルを超えていたとNYTは報じている。同氏は2009年、ZapposをAmazonに売却。買収金額は12億ドルと報じられた。
Hsieh氏はビジョナリーとされることが多く、オンライン小売業初期の技術系カンファレンスでは頻繁に講演を行った。Zapposでは、Twitterで話題を生み出すことを従業員に奨励したほか、「採用辞退ボーナス」2000ドルの提供、さらに顧客サービスを優先事項の最上位に掲げ、配送料や返品を無料とするなど、当時としては型破りな方法を取り入れていた。
また同氏は、「Delivering Happiness」(ザッポス伝説)というベストセラー書籍を執筆している。自身の成功への道のりをつづった書籍だが、同氏は「幸せのムーブメントを開始し、世界をより良い場所にする」ために執筆したと述べていた。
Hsieh氏は、「私の願いは、ますます多くの企業がより良いビジネスを構築するため、また顧客と従業員を幸せにするために、サイエンスオブハピネスの研究から得られた結果の一部を適用し始めるようになることだ」と書いていた。
Hsieh氏死去の知らせを受け、さまざまな著名人がTwitterなどで同氏を追悼した。
ソーシャルニュースサイトDiggの創業者Kevin Rose氏は、「悲しみに打ちひしがれている」とツイートした。
起業家のTony Hawk氏は「Tony Hsiehは先見の明ある人物だった」とした。
米大統領選で民主党予備選挙の候補者だったAndrew Yang氏は、「Tony Hsiehは、非常に多くの人々の心に触れ、非常に多くの起業家に刺激を与えた。彼の影響とレガシーはこれからも生き続ける」とツイートした。
投資家のChris Sacca氏は、「Tony Hsiehは、私が友人になった人の中で最も独創的な考え方の持ち主だったかもしれない」としている。
Tony Hsieh might be the most original thinker I’ve ever been friends with. He questioned every assumption and shared everything he learned along the way. He genuinely delighted in making anyone and everyone happy. The earth has lost a beautifully weird and helpful person. RIP
— Chris Sacca U+1F1FA (@sacca) November 28, 2020
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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