logo

AGC、自前開発からの脱却--オープンイノベーションを加速する新研究開発棟開設

加納恵 (編集部)2020年11月20日 08時30分
  • 一覧
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 AGCは11月19日、神奈川県横浜市に社内外の協創を加速させる新研究開発棟を開設したと発表した。オープンイノベーション空間「AO」を設け、他社との協業の拠点として、開発を加速させる。

AGC横浜テクニカルセンター。右手のガラス張りの建物が新研究開発棟
AGC横浜テクニカルセンター。右手のガラス張りの建物が新研究開発棟

 新研究開発棟は、横浜市鶴見区にあるAGC横浜テクニカルセンター内にオープン。現在は一部の稼働となっており、2021年の半ばにフルオープンになる見込みだ。4階建てで広さは約4万5000平方メートル。現在横浜に2つある研究所をここに集約する計画だ。フルオープン時には約1500名が働く体制を整える。

 新研究開発棟は、AGC独自の研究をすすめる「セキュリティエリア」と、社外パートナーとのコミュニケーション、研究、プロトタイピングを行う「オープンエリア」の2つを備え、社内外との「つなぐ場」としての役割を担う。「横浜テクニカルセンターは、材料、プロセス、設備を同じ場所で開発することで、スピードを上げてきた。新研究開発棟では、外部の知恵、知見を取り入れ、オープンイノベーションにより協創を加速させる」とAGC 代表取締役兼専務執行役員CTOの平井良典氏は位置付けを話す。

左から、AGC 代表取締役兼専務執行役員CTOの平井良典氏と執行役員事業開拓部長マルチマテリアル事業本部長の高田聡氏
左から、AGC 代表取締役兼専務執行役員CTOの平井良典氏と執行役員事業開拓部長マルチマテリアル事業本部長の高田聡氏
新研究棟概要。緑の部分がセキュリティエリアで、青い部分がオープンエリアになる
新研究棟概要。緑の部分がセキュリティエリアで、青い部分がオープンエリアになる

 目玉になるのはオープンエリアだ。協創空間「AO」(AGC OPEN SQUARE)と名付け、「つなぐ」「発想する」「ためす」をコンセプトに据える。施設内には、AGCの素材や技術をいかした外部パートナーとの協創展示「AO Gallery」、ユーザーのニーズとAGCのシーズから生み出された製品、価値、最新トピックスをきっかけに対話ができる「AO Park」、AGCの最先端素材や技術に触れられる展示エリア「AO Studio」、外部パートナーと一緒にサンプルを評価し、プロトタイプをつくる協創実験室の「AO Lab.」の4つのスペースを用意。ユーザーや外部パートナーに門戸を開く。

 すでに、国内の主要自動車メーカー9社のインテリア、CMF(色、素材、加工などの商品外観)デザイナーを中心に集結した団体であるJAID(ジャイド)と協創をはじめており、AO Lab.内にJAIDのメンバーがスペースを確保。AGCの研究開発に携わる社員と約1年間、アイデアを出し合い、その成果として2021年2月2日から4月17日まで、展示会「8.2秒展」を開催するという。

JAIDのメンバーとAGCのスタッフによるアイデア出しの様子
JAIDのメンバーとAGCのスタッフによるアイデア出しの様子
展示会「8.2秒展」の試作が行われている
展示会「8.2秒展」の試作が行われている

 AO Lab.には、3Dプリンタやガラスを実際に溶かす「溶解デモ」スペースを設けるなど、ビジネスアイデアを形にするための環境も整える。xRealityを扱う「XRラボ」では、建築前に新研究開発棟をイメージするシミュレーションとしても活用。「建築する前に見栄えは確認できない。従来はサンプルを作っていたが、巨大なビルの外観をサンプルで予測するには限界がある。XRラボでは、サイズ感も体感できるほか、晴れた日、曇りの日などの再現ができる」と平井氏はメリットを話した。

3Dプリンタは新研究開発棟内に合計8台を設置。従来は試作用途のための使用が多かったが、最近は実用部材としても利用されているという
3Dプリンタは新研究開発棟内に合計8台を設置。従来は試作用途のための使用が多かったが、最近は実用部材としても利用されているという
ガラスを実際に溶かす「溶解デモ」
ガラスを実際に溶かす「溶解デモ」
「XRラボ」。HMD内で見えている映像がディスプレイに映し出されている。研究開発のデジタル化は進んでいる
「XRラボ」。HMD内で見えている映像がディスプレイに映し出されている。研究開発のデジタル化は進んでいる

 AGCでは、横浜市神奈川区に基礎、材料研究などを手掛ける「中央研究所」、横浜市鶴見区にプロセス、設備開発などを行うAGC横浜テクニカルセンター(旧京浜工場)と2つの研究所を持ち、それぞれが開発にあたっていた。平井氏は「この2つを並行して研究開発しないと、時代にスピードについていけない。羽沢と鶴見は距離的にも近いが、それでも場所が離れていることでギャップが生じる。大きな壁があったとは思わないが、同じ場所で同じ方向を向いて仕事をすることで最も加速ができる」と拠点を集約する意義を話した。

 また中央研究所については「1965年に操業を開始しており、老朽化していた。施設内も自前主義の典型的な造りで小部屋に分かれ、オープンとは程遠い環境。開発体制を新しくする必要があった」(平井氏)とする。

 新研究開発棟が目指すのは、オープンイノベーションとともに自前主義からの脱却だ。平井氏は「素材の開発は形になるまでに数十年を要する。しかし今この時代においてお客様が20年待ってくれるかというとそんなことはない。新素材や付加価値を提案するためにも自前開発だけでは追いつけない」と強調した。

過去から最新に至る素材をいかした価値提供のヒストリーを展示。今後2020年以降は空白になっていた
過去から最新に至る素材をいかした価値提供のヒストリーを展示。今後2020年以降は空白になっていた
エントランスの「AO Gallery」。ガラス部分がスピーカーになっており、インスタレーションで素材の魅力を体感できる
エントランスの「AO Gallery」。ガラス部分がスピーカーになっており、インスタレーションで素材の魅力を体感できる

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]