UPDATE Appleは2021年から、売り上げの少ないアプリ開発者を対象に、「App Store」を通して「iPhone」「iPad」「Mac」向けアプリに課している販売手数料を、現行の半分の15%に引き下げる。対象となるのは、年間売上高が100万ドル(約1億400万円)未満の開発者だ。
「このことは小規模事業者やデベロッパがより多くの資金を自身の事業に投資し、従業員を増やして、世界中のアプリケーションのユーザーのために新しい、革新的な機能を開発できるようになることを意味します」と、Appleは発表の中で述べた。この手数料率変更は、2020年の売上高に基づいて2021年1月1日から適用される。
Appleは、売上高100万ドルを線引きの基準とした理由について、社内調査の結果、アプリ開発者は売上高がその金額に達するとより大きな成功を収める傾向にあることが分かったためだとしている。売上高がこの基準を下回ったアプリ開発者は、再び同プログラムの適用対象となるという。
App Storeで製品を提供する約2800万のアプリ開発者の間では、Appleの課す手数料の高さやその高圧的なやり方をめぐって何年も前から論争が続いている。Appleによる今回の動きはそうした不満の声を受けたものといえる。
App Storeの手数料をめぐってAppleに異論を唱えているのは、小規模開発業者だけではない。人気バトルロイヤルゲーム「フォートナイト」の開発元であるEpic Gamesや、音楽配信サービス大手のSpotifyも、Appleの手数料などについて苦情を訴えている。
Spotifyは米国時間11月18日、Appleの手数料改定について、「App Storeのポリシーが恣意的で気まぐれであることを表している」として、「Appleの反競争的なふるまいは、『iOS』向けのすべての開発者にとって脅威だ」とコメントした。Spotifyは3年前、30%の手数料に抗議して、Appleのアプリ内決済システムから撤退した。その手数料を、競合するApple独自の音楽サービス「Apple Music」は支払う必要がないのに、Spotifyは支払わなければならない。
Appleは、初代iPhoneが発売された翌年の2008年にApp Storeを開設して以来、すべてのアプリ売上高に対して30%の手数料を課してきた。Appleは、ゲームをプレイするための追加ライフや、キャラクターの新しい外観、言語学習アプリのサブスクリプション料金といったデジタル商品のアプリ内決済に対しても、最大30%の手数料を課している。また開発者に対し、アプリが安全で、ヌードやハラスメントなどの問題に関する編集上のガイドラインを満たしていることを確認するために、アプリを審査に提出することも求めている。
Appleの手数料について苦情を訴えるだけでなく、反撃に出た開発業者もある。Epic Gamesは8月、手数料の仕組みをめぐってAppleを提訴した。直接支払いの機能を導入したことを理由に、Appleが「フォートナイト」をApp Storeから削除したためだ(EpicはGoogleも提訴した。Googleも同様の理由でフォートナイトを「Google Play」ストアから削除していた)。
一方、Spotifyなどの企業は、Appleの慣行に関する苦情を欧州委員会の競争総局に訴えている。欧州連合(EU)は6月、Appleに対する2件の調査を開始した。1件はApp Store、もう1件は決済サービス「Apple Pay」の技術の取り扱いを対象としている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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