目指すは「日本列島総DX化」--ヤフー、ビッグデータ事業で新キャンペーン、APIも提供へ

 ヤフーは11月5日、事業者向けデータソリューションサービスの新キャンペーン「全員DXキャンペーン」を発表した。あわせて、API経由でソリューションのデータにアクセスできる新サービス「DS.API」を提供開始。BIプラットフォーム「Tableau」との連携をスタートする。

キャプション
(左から)ヤフー執行役員CDOの佐々木潔氏(テクノロジーグループ データ統括本部長)、同社データソリューション事業本部 本部長の谷口博基氏

「日本列島総DX化」を目指す新キャンペーンを開始

 ヤフーのデータソリューションは、開始4カ月で200社以上が利用。しかし、料金体系の関係から1社5〜10人の利用にとどまっており、企業内でデータの利活用が共通言語化されていないと、ヤフー執行役員CDOの佐々木潔氏(テクノロジーグループ データ統括本部長)は振り返る。そのため、企業や自治体内でデータの使い手を増やすべく、「全員DXキャンペーン」を発表した。

 通常、1ライセンスあたり月額10万円、10ライセンスで月額50万円、20ライセンスで月額80万円という料金体系だが、2021年3月31日までに申し込みした企業・自治体に対し、最低利用の6カ月間、月額10万円でライセンス上限数を100(問い合わせまで200ライセンスまで追加可能)までに増やすことができる。佐々木氏は、今回のキャンペーンとDS.APIで、「目指すは日本列島総DX化」と意気込む。

キャプション
現在の料金体系

データソリューションと自社データをあわせた分析が可能に

 同社では、DS.APIの第一弾として、ヤフーのビッグデータをブラウザー上で調査・分析できる「DS.INSIGHT」の機能をAPI経由で利用できる「DS.API-INSIGHT」をリリース。DS.INSIGHTのデータと、自社データを組み合わせた分析などが可能になるとしている。なお、現時点では検索データを分析できる「DS.INSIGHT People」のみが対応。今後順次サポート機能を拡充する予定という。

キャプション
BIや社内システムとデータソリューションをつなぐ「DS.API」

 DS.API-INSIGHTでは、自社のアプリケーションだけでなく、連携するBIツール経由でも利用可能。販売実績などの自社データとともに、サービスや製品名の検索推移などを定点管理できるため、プロモーション施策の検討や効果測定への活用が可能になるという。今回、BIプラットフォーム大手のTableauと連携を実現。連携先のBIツールは今後も拡大予定としている。

 同サービスの料金は、月額基本料10万円をベースに従量課金タイプのAPI使用料が発生する。使用料はAPIによって異なるが、1リクエスト1〜5円ほど。また、DS.APIリリースキャンペーンとして、期間中請求金額から5000円を割り引くという。例えば、自社主力10製品の検索動向に加え、競合5社のサービス検索動向を毎日チェックした場合でも、キャンペーン金額内に収まるようだ。

キャプション
各APIと1リクエストあたりの価格

データから見えてきたこと

 活用事例もいくつか紹介された。通信販売「ベルメゾン」を手掛ける千趣会では、DS.INSIGHTを使い、女性の検索行動に注目。スーパーやコンビニでレジ袋が有料化したことで、エコバッグへの興味関心が広がったが、コンパクトや折りたたみといったワードに加えて、コンビニサイズで検索している人が増えたと判明。商品開発やコミュニケーションに活用している。

キャプション
キャプション
ベルメゾンの活用例

 また、同社では新型コロナウイルスの感染拡大にともない、地方自治体に対しDS.INSIGHTを開放している。47都道府県、20の政令指定都市で導入され、コロナ禍からの回復シナリオや、知事や市長が発信するデータに活用されているという。

キャプション
キャプション
都道府県、政令指定都市での活用例

 さらに、ヤフーのアナリストがチームを組んでユーザー企業ごとに分析する「DS.ANALYSIS」では、スカパーの活用事例を紹介。スポーツ観戦目的で契約したユーザーの解約動向について当初、同社では競合へ流れているとの仮設を立てていた。しかし、検索ワードの比較で分析したところ、経済的な要因が大きな理由だったと見えてきたという。

 これにより、競合対策のアクションではなく、経済合理性が高い継続ユーザーへのリテンション施策につながったとしている。こうした、不透明性が増す消費者の興味・関心の動向などを、企業や自治体が把握する道標にしたいと、ヤフーデータソリューション事業本部 本部長の谷口博基氏は語る。

キャプション
スカパーでの活用例
キャプション
内閣府にも利用されている

 今後のデータソリューションの動きとして、ソリューションパートナー向けAPIプラン「DS.API-INSIGHT for SP」のリリースや、DS.INSIGHTへの購買データの搭載、PayPay加盟店向けに簡易版DS.INSIGHTを提供する予定としている。

キャプション
PayPay加盟店に「DS.INSIGHT」の簡易版を提供へ

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]