iPad版「Illustrator」正式リリース--作業のライブ配信に対応、iPhone版「Fresco」も

 アドビは10月20日、ベクターベースのドローイングソフト「Illustrator」のiPad版を提供開始した。Illustratorを含むCreative Cloudユーザーであれば無料で利用可能。単体利用は月額1080円となる。

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iPad版「Illustrator」が登場

 Illustratorは、アドビで最も有名なドローイングツールの一つで、初代バージョンは1987年に登場。クリエイティブの環境がPCからスマートフォンやタブレットに広がる中で、2019年の自社イベント「Adobe MAX 2019」でiPad版の開発を発表している。今回、2020年のAdobe MAX開催に合わせて、iPad版Illustratorの正式提供に至った。

 iPad版では、ユーザーインターフェイス周りのデザインをタッチを前提としたものに刷新しており、Apple Pencilで直観的に操作可能。線やシェイプ、文字、グラデーションを作成できるほか、鉛筆ツールのジェスチャーでグラフィックの結合やカットが可能だ。スマート削除やパスの単純化など、Apple Pencilで編集作業を効率化できる。

 さらに、iPad版ならではの独自機能として、ドラッグアンドドロップで拡散カラーを動的にブレンドできるポイントグラデーションや、一つのオブジェクトから、さまざまなパターングラフィックを作成できるリピートラジアル、リピートグリッド、リピートミラーなどを追加。また、Adobe Fontsが有する1万8000種類のフォントが利用でき、正規ライセンスであればユーザーが持つフォントもアップロードして使用できる。

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一つのオブジェクトからぱらーんグラフィックスを作成できる「リピートラジアル」

 Illustratorで作成したプロジェクトはクラウドベースのファイル形式「クラウドドキュメント」として保存される。今回のCreative Cloudのアップデートで、PC版のIllustratorでもクラウドドキュメントの編集に対応しており、iOSやAndroid、Windows、Macを行き来した作業や、自動保存機能で保存された過去のバージョンの閲覧などが可能。今後は、クラウドドキュメントの共同編集にも対応予定だ。

 iPad版Illustratorでは、ラーニングにも力を入れる。同社のクリエイター向けコミュニティ「Behance」を使い、著名なクリエイターのライブストリームや、ガイド付きチュートリアル、他のクリエイターのプロジェクトなどが閲覧できる。さらに、iPad版Frescoで提供しているライブ配信機能を、iPad版IllustratorとPhotoshopにも拡大。自身のテクニックをほかのクリエイターに届けることができる。

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Behanceでのアプリ内ライブ配信に対応

イラストアプリ「Fresco」はiPhone版が登場

 今回、同社のクリエイティブツール群「Adobe Creative Cloud」のアップデートにあわせて、iPhone版の「Fresco」が登場。Frescoは、ベクターとビットマップの両方が扱えるイラストアプリで、2019年9月にiPad版が登場した。

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イラストアプリ「Fresco」にiPhone版が登場

 iPhone版のFrescoは、クラウドドキュメントに対応。iPhoneで作業した内容をiPadや、Surface Pro Tablet、Wacom MobileStudio Proなどに引き継いで作業することができる。なお、iPhone自体はApple Pencilに対応していないため、指やサードパティ製スタイラスで操作する必要があるようだ。

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