2020年からのオフィスを考える--コロナ禍におけるニーズの変化と広がる選択肢 - (page 3)

パフォーマンスを最大化できる働き方を、多様な選択肢から選べる社会へ

 最後は「両社が考える、未来のオフィス」ついて、両者の意見を訊いた。井上氏は、「テレワーク、オンラインの最大限活用という働き方の変化は、もとには戻らない。オフィスの解約・縮小・分散が進み、必要な時に集まれる場所へと変化していく」と指摘して、企業は個人がパフォーマンスを最大化できる働き方やオフィスを用意し、従業員自身が選べるよう選択肢を提供することが重要だと話した。


 「オフィスの存在意義は、会社によって異なる。たとえば“オフィスを自社のアイデンティティを感じる場所にする”など、自社にとってのオフィスに集まる意義を再定義する必要がある」と井上氏。


 そのうえで、オカムラとコラボレーションして「オカムラ家具を体験しながら利用できる」ワークスペースの提供を開始したことを紹介した。パフォーマンスが上がる家具は、店頭で体験するだけでは分からない。利用して初めて、そのよさを体感でき、実際のパフォーマンス向上を図れるという。

 垣屋氏は、両社のコラボ企画を紹介した井上氏に感謝し、近い未来のオフィスのキーザードとして「ライトサイジング」を挙げた。適正なオフィス面積への縮小が重要だと言及して、「ただサイズダウンするだけではなく、全体的としてのライトサイジングを図ることが要となる」と強調した。

 確かに、オフィス面積を削減できれば、オフィス賃料や共益費、水道光熱費、OA機械のリース費、交通費などの項目において、コストダウンが可能だ。しかし、在宅勤務やシェアオフィスなどシームレスな働き方に移行すれば、新たに発生する追加経費もあるという。


 「オフィス面積削減に伴う経費削減と、新たな働き方へ移行するための経費増加、この両項目についてリサーチして、適正なサイズを提案する仕組みを構築した」と、垣屋氏は新サービスを紹介し、未来のオフィスの役割についてこう話した。「いろいろな場所で働くことを選べるなか、あえてオフィスに行くのは人に会いに行くためではないだろうか。それに合わせてオフィス内部も変わっていくべきだ」(垣屋氏)。

 モデレーターの藤井は、「オフィス不要論など煽った報道を見かけることもあるが、オフィスはなくならない。ゼロイチではない、自社にとってのオフィスの最適解を見出すことが大切だ」と締め括った。

 当日は、「オフィスの分散先として考えられる選択肢は」「一人用でよく使われるテレワークスペースはどこか」「シェアオフィスの衛生面の担保」「ホテリング運用における注意点」など、多数の質問が寄せられた。

 また、「既存オフィスをすぐに移転することは難しいので、会議室のいくつかをスペースマーケットで貸し出せないか」など具体的な相談も飛び出した。井上氏と垣屋氏は、「ビル契約の中途解約やオフィス原状回復は、ビル移転のハードルになっている」と企業の悩みに共感姿勢を示して、「いままでの考え方にとらわれないで、自社にとってのオフィスのあり方を再定義するべきときだ」と語った。

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