日鉄興和不動産は9月28日、ベンチャーキャピタルDNX Ventures(DNX)と共同で、「品川インターシティ」にスタートアップ向けのインキュベーションオフィス「SPROUND」(スプラウンド)を開業した。「世界で戦えるスタートアップを品川から」生み出すことを目指す。
SPROUNDは東京都港区に位置し、品川駅港南口から徒歩5分の距離。品川インターシティA棟22階のワンフロアをほぼ専有しており、広さは約400坪、約1400平方メートル。約300人が働ける環境を整える。
日鉄興和不動産はオフィスビルやマンションなどの物件を扱っており、インキュベーション施設の開業、運営は初めて。米国シリコンバレーと東京に拠点をおくベンチャーキャピタルDNXとの共同事業として立ち上げることで、品川の「スタートアップ企業の聖地化」を見据える。
DNXはSPROUND内にオフィスを構え、スタートアップと対話しながら企業の成長を促していくとのこと。入居している企業同士のコミュニケーションを生み出すため、カフェスペースを設けたほか、プロフィール写真、所属、肩書、名前を壁に貼り、他の利用者へ公開する「SPROUNDWALL」を設置。個人のキャリアなどを記載しているほか、趣味なども書き込めるようにし、利用者同士の会話のきっかけを提供する。
リラクゼーションスペースには、利用者のオススメの本を並べる本棚も設置し、貸し出しにも対応。入居時におすすめの1冊を聞いて取り入れており、本にはおすすめのコメントも記載する。
施設内はリラクゼーションスペースのほか、集中して仕事をするフォーカス、カフェがあるコミュニケーション、ミーティングができるコラボレーションの4つから成り、一番奥にDNXのオフィスが位置する。
コラボレーション部分のミーティングスペースとは別に会議室も7つ用意し、いずれもオンライン予約に対応。SPROUNDでは、ビットキーが提供する、オフィス向け顔認証スマートロックを先行導入しており、エントランスドアのカギを顔で解錠できるほか、会議室も顔認証にて解錠が可能だ。
オフィスは土日、夜間も運営しているが、セーフィが提供するSafieのセキュリティカメラを採用。スマートフォンで運営者が常時館内の状況を確認でき、セキュアなオフィス環境を構築している。
DNXが長年サポートしているB2Bスタートアップ向け施設となり、シード期を対象にしているとのこと。現在、DNXシード投資先である、アルプ、アルファス、BeaTrust、FLUX、ナレッジワーク、Hubble、PSYGIG、RESTARと、SPROUNDを設計したKnotel日本支社が、先行して利用を開始している。
利用は審査制で、申込み後面談などを実施した後、利用が決定するとのこと。「質の高いスタートアップがすぐそばにいる環境を作り、『知の還流』を果たす。今までのインキュベーション施設とはそこが大きく違う」(日鉄興和不動産賃貸事業 本部賃貸事業企画部エリアマネジメント室マネージャーの金谷貴央氏)と差別化ポイントを説明する。
施設内の家具や什器はKnotel(ノーテル)が手掛けており、オリジナル家具「Geometry」も数多く導入。可動式ミーティングブースなど、置くだけでスペースを確保できることが特徴で、人数が増減しやすいスタートアップのオフィスには最適としている。SPROUNDが日本における第1号スペースとしており、世界各国の主要17都市200以上の拠点で約14万坪のワーススペースを運営しているという。
名称のSPROUNDは芽吹くという「sprout」と循環させる「round」を組み合わせた造語。日鉄興和不動産 代表取締役社長の今泉泰彦氏は「品川は新幹線も停車し、羽田や成田など空港へのアクセスも良い、ポテンシャルのある立地。DNXが同居することによってスタートアップの課題や悩みの解決をサポートするサポート機能を提供していく」と話した。
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