一般的な業務で必要な場面は少ないだろうが、後ろにある物が透けて見える透明なディスプレイは以前から存在する。たとえば、サムスン電子傘下のSamsung Displayが以前、透過型の有機ELディスプレイを披露している。Xiaomi Technology(シャオミ)は、透明な55型テレビを販売するとした。
この種の表示デバイスで使われる透過型ディスプレイパネルは、背後を見えるようにしつつ映像を表示するため、通常のディスプレイと構造や製造方法が異なる。
Samsung Displayは、透過型ディスプレイパネルの実現に必要な技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間8月27日に「TRANSPARENT DISPLAY DEVICE AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME」(公開特許番号「US 2020/0273926 A1」)として公開された。出願日は1月13日。
この特許は、透明な表示デバイスについて、表示部分の構造を説明したもの。対象とする具体的なデバイスへの言及はないが、図面では画面が透明なスマートフォンらしきものを例としている。
表示デバイスは、各種電子回路を実装するための層と、表示用の画素(ピクセル)を配置する層の2層構造。各ピクセルは、有機ELなどの発光素子を設けた部分と、光と透過する部分で構成されている。こうした構造にすることで、このデバイスを通して背後を見られるようにしつつ、何らかの画像を表示できるわけだ。ただし、これだけでは新規性がなく、特許の権利化は難しいだろう。
同特許では、各ピクセルで発光部分の境目となる第1のサイドウォールと、透過部分の境目となる第2のサイドウォールに関して、表示デバイスの面方向からの角度を規定している。具体的には、第1サイドウォールの角度より、第2サイドウォールの角度を大きくするそうだ。
どのような効果を狙ってこの構造を採用するのかについて、クレーム(請求項)からは読み取れない。しかし、この特許で示された構造が、透過率や画質の向上、製造の容易化などに貢献する可能性はある。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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