バルカンの小国がもたらすフィンテックのイノベーション--クロアチアが台頭した理由 - (page 2)

Bojan Stojkovski (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2020年08月28日 07時30分

 「クロアチアでは、過去数年間でフィンテック業界が長足の進歩を遂げた。その大半は、国民が自力でデジタルスキルを向上させたことに起因する」と話すのは、ブロックチェーンと仮想通貨に関するクロアチア国内の協会組織で会長を務めるVlaho Hrdalo氏だ。

 「投資家は、クロアチアの若い世代が持つデジタルスキルのレベルに気づき始めており、クロアチアに目を向けるようになってきた。私が話を聞いたあるベンチャーキャピタルファンドは、クロアチアに資金を振り向けつつあると話している。ちょうど、10年前のイスラエルと似ているからだという。優秀な人材は多いが、まだ巨額の資金は動いていないのだ」(同氏)

 実際、フィンテック産業の発展という点で、クロアチアは事実上イスラエルの例を見本にしている。2019年、両国は同分野での協力体制の拡充とイノベーションの推進を目指して、フィンテックに関する提携契約を結んだ

 ソフトウェア開発という面では、人材が揃っている。だが、クロアチア国内企業は依然として、現時点で足りていないビジネススキルに力を注がなくてはならないと、ザグレブで活躍するアナリスト兼ブランディングコンサルタントのIvan Brezak Brkan氏は指摘する。

 「東欧の他のスタートアップも同じような状況だが、ビジネススキルと規模の拡大が、最も重要だと分かっている。過小評価されているスキルで、コロナ後の時代に役立つのは、コンテンツ制作、インバウンドマーケティング、ソートリーダーシップ(問題解決の為の理念を掲げることで、顧客の共感と評判を生み出すこと)だろう」、とBrezak Brkan氏は米ZDNetに語った。

 「クロアチアのフィンテック企業は、ほとんどがB2Bで、展示会などのイベントを営業の場として利用してきた。現在、その不足をバーチャルイベントでも補いきれない状況で、そうした企業は営業戦術としてコンテンツマーケティングに力を入れなくてはならない。だが、彼らはその世界での経験が全くない状態だ」(Brezak Brkan氏)

 クロアチアのほとんどのフィンテック企業が外国の市場をターゲットにしている状況で、クロアチアの法律は、改正決済サービス指令(Payment Services Directive 2:PSD2)など、EUとほぼ同調しているため、企業各社は巨大なフィンテック市場で競争することができる。

 「PSD2が施行されてからしばらく経っているので、近いうちにさまざまな新しいアイデアや提案、付加価値のあるサービスが登場すると見込んでいる」。ザグレブに拠点を置くテクノロジー専門家のMarko Rakar氏は、米ZDNetにそう語った。

 デジタル分野の弁護士でもあるHrdalo氏によると、クロアチアは、フィンテックやブロックチェーン、AIを管理するしっかりとした法規制を欠いたまま、寛容で自由放任的な方針でこれらの業界を管理しようとしてきたという。

 「しかし、厳密な規則が整備されていないので、クロアチアのデジタル企業は、どこまでやれば規制に抵触するのかを、手探りしていかなければならない。それは必ずしも最善の方策とは言えないだろう」(同氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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