スマート信号機の登場で、アリゾナ州フェニックスのドライバーの生活はこれまでより快適になるかもしれない。私がいるカリフォルニア州ロサンゼルスは今、コロナ禍にもかかわらず交通量が回復してきている。このような状況下ではこの取り組みには注目が集まっているといえるだろう。
この新たな試みは、カリフォルニアに拠点を置くNoTrafficという企業の発明品だ。フェニックスにある複数の主な交差点で8月17日からテストが始まっている。信号の切り替えシステムを定周期式から実際の車両の動きに基づく調整方法に変えることで、車両や歩行者の渋滞を減らすのが目的だ。同社は最近のテスト配備で、ある都市では交通の遅れを最大40%改善できたとしている。
NoTrafficの最高経営責任者(CEO)、Tal Kreisler氏は「米国で5番目の規模のフェニックス市と協力できて感謝している」と述べ、「影響力のある技術的な取り組みは注目を集め、新型コロナウイルス感染症とそれに伴う経済不況から世界が再浮上するために非常に重要な役割を担うことになると確信している」と今回の提携の意義を説明した。
この交通網管理システムの興味深い利点の1つは、緊急車両を優先する機能だ。これは、混雑する通勤道路でファーストレスポンダー(緊急時の初期対応を担う人々)の車両に最も空いた経路を提供するというものだ。人工知能(AI)と、車やバイク、通行人、バス、緊急車両、商用車などを区別するV2X(車とモノとの通信)技術を使うことで、NoTrafficのプラットフォームは交差点に接近する物体をトラッキングし、「リアルタイムで交差点に最適なサービスを算出し、その結果に応じて信号を自律的に切り替える」。このシステムは、車両の死角のような安全性の問題にも配慮する。
フェニックスの道路交通局長、Kini Knudson氏は次のように述べた。「技術による自動車と交通管理システムの融合が、混雑する路上での自動車のより効果的な移動を可能にする」「この新技術を地域およびグローバルなパートナーと協力してテストする機会を持つことができたのは、フェニックスにとって非常に刺激になる」
このシステムのフェニックスでの配備は、より広範な展開の前にシステムをテストするためのもので、グレーターフェニックス地域の自治体で構成されるMaricopa Association of Governments(MAG)の、新技術を採用する取り組みの一環だ。この取り組みでは、大規模な投資をする前に新技術の実行可能性をテストする。
MAGのEric Anderson事務局長は「全地域住民にサービスを提供する地域交通計画機関として、MAGはスマートモビリティシステムの評価を続け、イノベーションを推進する管轄区域と緊密に連携していく」「現実世界で準備できている技術を安全に展開していくことは重要だ。地元の大学とも協力し、通勤車両や商用車で混雑する道路でのNoTrafficのプラットフォームの性能を見るのが楽しみだ」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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