7月5日に東京都知事選挙が実施されました。小池都知事が再任されましたが東京の有権者の方は投票に行かれましたか?自宅で投票できればすごく楽ですよね。
選挙は公職選挙法で手続きが決まっているので、自宅で投票できる「ブロックチェーン選挙」を行うためには、法律の改正が必要です。過去にも電子投票を試みましたがまだ実現できておりません。平成14年(2002年)に総務省より、「電子機器利用による選挙システム研究会報告書」が提出されています。また2008年には国政選挙で電子投票を可能とする公職選挙法特例法の改正案が廃案となっています。
18年前の報告書、また12年前の法案。先日、ビットフライヤーでは株主総会をブロックチェーンで運営するという実績ができました。次は選挙です。今だと何ができるのかを検討してみましたので、ぜひご一読ください。
今回の都知事選の投票率は55.00%で小池氏の得票率は59.70%。つまり全有権者の33%くらいの人が小池氏を支持することで都知事に再選しています。
国政選挙も投票率は50%前後で、与党の獲得議席は55%くらいですので、全体の約28%の国民しか賛成の意思表明をしていないのにも関わらず、全国民を代表して政権運営が可能となります。
以下の図のように、投票率は年代によって大きな差があります。今は18歳で選挙権が与えられますが、若者が投票に行くことで日本は変わると考えています。そのためにはスマホで簡単に投票できるようにするのが必須です。
もちろん投票率が上がるだけで、何も考えずに投票する人が増えるのは問題です。アメリカの大統領選挙は1年かけて大統領を選びます。数々の討論会を経て、政策を国民に伝える時間があり、また国民の一大イベントとなっています。このように日本でもネットでの政策開示や討論会等、被選挙人(候補者)が国民に政策を伝える手法と期間が見直され、若者が真剣に政治に向かい合うようになると良いと思います。
よく選挙にいかない言い訳として、自分の一票が大勢に影響がないという話を聞きます。私は一票の差が決定的な影響を及ぼしているのではなく、投票率が重要だと考えています。もちろん最終的な選挙は一票の差で勝負を決めるのですが、政党政治を行っている以上、自党の議席数をより多く獲得するために統計に基づいた戦略やマーケティングを練ることになります。そして結果的には個々の政治家が選挙において統計データを意識した行動を取ることになります。
若者は人口が半分で投票率が半分、18歳以上の有権者がターゲットとなった場合に企業だったらどのようにマーケティングするでしょうか?
企業経営で例えると、ターゲットペルソナが高齢者になっています。人口も投票率が半分しかない若者の意見を重視する戦略は効率が上がりません。なぜ名前を連呼するのでしょうか?bitFlyerも社名を連呼するCMを作ったことがありますが、残念ながらマーケティング的には効果のある手法だからです。最近ではテレビCMでは連呼が厳しくなっています。
加えて、陳情のパワーにも差が出ます。私も何度も衆議院や参議院の議員会館に足を運びましたが、陳情に時間を費やせるのは地方の高齢者が多く、働き盛りのIT企業の経営者は陳情している余裕がないのではないでしょうか?陳情パワーは明確に政策提言において差が出ると感じています。
もちろん、政治家が選挙だけを意識しているとは全く考えていません。人生をかけて身を粉にして国民のために尽力してくれているのは間違い有りません。国民の声をどのような手段で反映させるのが良いのかと分析しました。
さて、前置きが長くなりましたが、都知事選での投票所での手続きは以下のようになります。(実は期日前投票だけでなく、ゼロ票確認、仮投票等の例外フローもあります。)
特に、3と4のフローについて疑問に思いませんか?本人確認はしない。自分が持っていた入場整理券に名前が書いてあり、その名前を呼ばれて「はい」と答える。何かの儀式と揶揄されても仕方ないかと。実はアメリカの選挙も本人確認はしておらず、本当に本人が投票したのかが議論になることがあります。
ブロックチェーン投票なら以下のように簡潔になります。
※気に入らなければ何度でも投票可能。最後の投票が有効。
期限までなら何度でも(上書き)投票できることが重要です。最終的な投票が有効票と数えられます。これはエストニアの電子投票で実装されていますが、仮に脅されて投票しても、自分ひとりになる時間があれば訂正して正しい意思が反映された投票ができますね。もちろん、従来通りの投票所投票とブロックチェーン投票のどちらでも選択できるようにするのが良いかと考えてます。
まずは投票、集計というプロセスが選挙と似ている株主総会について考察します。
株主総会を運営しているのは第三者機関ではなく、片方の当事者でありこれが問題視されることがあります。これは第三者である選挙管理委員会が運営している選挙とは異なります。「会社〜=取締役」ですが、株主と現取締役は経営方針が対立することが少なからずあります。また取締役が不正を行うこともあります。その場合は株主総会を開いて経営者を交代させることが求められますが、総会の運営自体が会社が行っており、また投票内容を含む株主総会運営内容は公開されることはないので不透明です。一部上場企業で得票率を開示する企業が増加していますが、これは委任状の数のみを数えています。
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