英国政府は現地時間8月4日、アルゴリズムを使ったビザ申請の審査を当面中止することを明らかにした。このアルゴリズムが人種差別的だと批判されたためだ。8月7日から暫定的な審査システムに切り替え、再設計したアルゴリズムを10月末までに再導入する。
英内務省の広報官は声明で、「われわれはビザ申請用ストリーミングツールの動作を見直しており、より合理的でセキュリティも高まるようプロセスを再設計していく」と述べた。
内務省が2015年に導入した「ストリーミングツール」の使用を中止する今回の決定は、技術の説明責任を求める団体Foxgloveと移民福祉協議会(JCWI)が司法審査を求めたことを受けたものだ。両団体は、申請者のリスクが高いかどうかを判断する根拠として国籍が使われていることから、このツールが人種差別的だと主張している。
アルゴリズムにおける人種的な偏向については、顔認識技術での事例が多く報じられてきたが、ハイテク業界全体のアルゴリズムに問題があるとの懸念も広がっている。FoxgloveとJCWIによる提訴は、各国の政府が民間のハイテク企業に対し、アルゴリズムの設計と動作について徹底的な透明性を求める姿勢を強めている流れに沿うものだ。
英国政府が透明性を欠いていると批判する人々は、ビザ申請のアルゴリズムが偽善的で非民主的だと考えている。また、このアルゴリズムが下す判断が広範囲に影響を及ぼす可能性があると主張している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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