厚生労働省が6月19日に配信を開始した、新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」。配信から約1カ月が経過したが、実際の利用状況はどうなのか。同アプリの責任者である内閣府副大臣の平将明氏と、アプリの仕様を担当したテックチームが現状について説明した。
COCOAは、利用者本人の同意を前提に、スマートフォンのBluetoothによって、お互いに分からないようプライバシーを確保しながら、陽性者と接触した可能性について通知を受けとれるアプリだ。GPSなどの位置情報を利用せず、記録することもない。
自らの意思で登録をした陽性者と、過去14日間に1m以内で15分以上近接した可能性があった場合に通知される仕組み。通知を受けた後は、自身の症状などを選択すると帰国者・接触者外来などの連絡先が表示され、検査の受診が案内される。
厚労省では医師会などを通じて同アプリについて周知を進めており、熱があり、かつアプリでも陽性者との濃厚接触の可能性があると通知された人については、検査を受けられやすい制度にしていると平氏は説明する。ただし、すぐに検査を受けられるかどうかは感染者数の状況により変わると付け加えた。
7月30日17時時点で、このアプリは950万ダウンロードに達しており、間もなく1000万の大台に乗る。このペースについて平氏は、「ダウンロード数が少ないと言われているが、思ったよりも多く、皆さまも関心があると思っている」と評価。アプリ経由で陽性者が見つかった事例もすでにあることから、ダウンロード数が積み上がることで、より効果を発揮するようになるとの見方を示す。
また、日本大学 生産工学部が7月28日に発表した「人口の約半数がこのアプリを利⽤し、アプリによって感染者と接触したことを知った人が外出を半減させた場合、累計感染者数が半減することが分かった」とする、削減効果の試算なども例として挙げた。
そこで、今後はより一層の利用者拡大に向けて、さまざまなアプローチで国民に呼びかけていくという。すでに7月6日から2週間、中井美穂さんを起用したテレビCMを流しているほか、8月中には第2弾のCMを予定しているという。また、Yahoo!ブランドパネルやGoogle検索広告などにも出稿している。
このほか、厚労省のウェブサイトや政府広報、SNSなどを通じて認知拡大につとめているほか、各都道府県や保健所設置市などの自治体、経団連や日商などの業界団体、さらにNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどの携帯キャリア、Amazon、楽天、LINEといった各プラットフォーマーにも周知協力を要請しているという。
こうした活動により、今後もダウンロード数は伸びていきそうだが、一方で課題となるのが、陽性登録者の少なさだ。7月30日17時時点でも76人しか登録者はいないという。
ダウンロード数と陽性登録者数がどちらも一定の水準に達しなければ、アプリとしての真価を発揮することは難しい。しかし、陽性者からすれば、いくらプライバシーに配慮されていると言っても、「私が感染者です」と自ら進んで登録したいとは思わないだろう。今後、たとえば登録者に何かしらのインセンティブを与えるなど、対策は考えているのだろうか。
この点について平氏は、「陽性者の登録が一番目詰まりしやすい構造であることは政府も理解している。ボトルネックをどうするかは各省庁と議論する」とコメント。ただし、引き続き登録の義務化はせず、あくまでも陽性者本人が家族や友人、同僚を守るために、自らの意思で登録してほしいと訴えた。
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