イタンジとスペースリーが提携--VRコンテンツでリモート内見推進、業務効率化へ

 イタンジとスペースリーは7月30日、イタンジが提供する不動産会社向け専用サイト「ITANDI BB(イタンジビービー)」とスペースリーが手掛けるVRクラウドソフト「スペースリー」をシステム連携すると発表した。スペースリーで撮影した賃貸物件のVRコンテンツを自動で、ITANDI BBに掲載できる。

「スペースリー」で撮影した賃貸物件のVRコンテンツを自動で「ITANDI BB」へ掲載可能に
「スペースリー」で撮影した賃貸物件のVRコンテンツを自動で「ITANDI BB」へ掲載可能に

 ITANDI BBは、物件検索から申込、契約、更新、退去手続きまでの業務をワンストップ化した不動産会社向けサイト。「Cloud ChintAI」として提供してきたが、6月に「不動産業者間WEB物件検索機能」を加え、ITANDI BBへとリニューアルした。

 個人向け不動産情報サイトで最近増えてきたVRコンテンツだが、イタンジでの不動産会社向けサイトに導入するのは今回が初めて。物件情報をリッチコンテンツ化することで、内見に関わる業務の負担を減らし、仕事効率化を目指す。

 「不動産物件のVRコンテンツ化はいくつかサービスが登場しているが、VRコンテンツが見られるURLを簡単に発行でき、それを仲介会社とお客様間ですぐに受け渡しできるのはスペースリーならでは。仲介会社の店頭で、お客様に物件を提案する際、VRコンテンツを見せることで成約につながるケースも多い」とイタンジ 代表取締役の野口真平氏は、提携の決め手を話す。

 スペースリーは、すでに不動産会社を中心に4000以上の事業者が採用しており、新型コロナ感染拡大防止により外出自粛が叫ばれた4月には、閲覧数が前年同期比の3.3倍にまで増加。導入済みのある賃貸管理会社では入居希望者の85%以上がVR閲覧のみで部屋探しを実現し、非対面での部屋探しを推進している。

 ITANDI BBにスペースリーのAPIを連携することで、自動連携を実現しており「それほど大それた開発はしていない」(野口氏)とのこと。約3カ月で実装までこぎつけたが「非対面への取り組み自体はコロナに関係なく、やっていくべきもの。ただし、コロナによる非対面というキーワードが際立ったため、加速したことは間違いない」とスぺースリー 代表取締役の森田博和氏は話す。

 賃貸物件における部屋探しは不動産会社の店舗に訪れ、物件概要が書かれた情報シート「マイソク」や物件写真を見ながら物件を絞り込んでいくのが通常の流れ。「VRコンテンツを通して接客できるのは大きなポテンシャル」と野口氏が情報量の多さが魅力と説明。加えて森田氏も「リモートで接客する時に、営業担当者とお客様が一緒に内見しているような空間を作れる。お客様の都合に合わせ夜間でもリモートであれば、内見ができる」とVRコンテンツのメリットを強調する。

 「賃貸物件を決める時は、2~3件を内見して決める人が多く、内見の途中でお客様が疲れてしまうことも少なくない。見たい物件を滞りなく見ていただくために手軽さというニーズは必ずある。それを補うための物件情報は今まで写真のみだったが、そこにVRコンテンツが加わることで、写真とは違うアピールポイントが出てくるはず」と野口氏は、VRコンテンツの重要性を説く。

 森田氏も「物件の画像を数多く見たいというのはもともとあったニーズ。VRコンテンツはその延長線上にあるもの。よりわかりやすい情報を提供することで、物件の価値を高める。それを積み重ねることで中長期的に差が出てくる」と話す。

 森田氏は「非対面での接客は始まったばかり。お客様も不動産会社もまだ慣れていないが、2021年の繁忙期を見据えてしっかりと取り組んでいきたい」とし、野口氏も「イタンジは、お客さまの不利益となる情報の非対称性をなくすことを会社の方針にしている。VRの活用もその取り組みの1つ」と話す。両社が目指すのは、非対面接客だけにとどまらない、不動産業界全体の改善だ。

 すでに、東京建物不動産販売、イチイ、明光トレーディングでの運用が決まっており、8月以降順次スタートしていく予定。「1年後には50社への導入を目指す」(野口氏)と今後を見据える。

左から、イタンジ 代表取締役の野口真平氏とスぺースリー 代表取締役の森田博和氏
左から、イタンジ 代表取締役の野口真平氏とスぺースリー 代表取締役の森田博和氏

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