シンガポール政府は5月、新型コロナウイルスの接触追跡に役立つウェアラブルデバイスを提供する計画を明らかにした。現地メディアによると、デバイスの有効性が実証されれば、6月中旬にもシンガポールの国民約570万人に提供が始まるという。
このウェアラブルデバイスは、補助的な接触追跡手法を求めるシンガポールの取り組みを示すものだ。感染拡大初期には「手本とすべき」対応だと称賛された同国は、今やアジアの中でもとりわけ多い感染件数に苦慮している。
ハンドバッグに入れて携帯したり、ひもにつけて首からさげたりできるというこのウェアラブルデバイスの計画は同国民から批判を浴び、プライバシーをめぐる懸念の声も挙がっている。「シンガポールはCOVID-19接触追跡ウェアラブルデバイスに反対する」というオンライン署名の賛同者は、10日時点で3万9500人を超えている。この署名では、当局が「市民を週7日24時間追跡する」のにデバイスが使われる可能性も指摘されている。「人が携帯電話を持っているかどうかにかかわらず、また電話の電源がオンかオフかにかかわらず、(そうした追跡が)実行されるようになる」(説明文)
スマート国家構想を担当するシンガポールのVivian Balakrishnan外相は8日、プライバシーの懸念に対処するため、このデバイスがGPSを搭載せず、インターネットにもモバイル通信網にも接続しないと説明した。したがって、デバイスは個人の位置や動きを追跡できないという。
シンガポールは3月、全国規模の接触追跡アプリ「TraceTogether」をいち早くリリースした。このアプリはBluetooth無線通信を使い、新型コロナウイルス感染症の患者に接触した人を当局が特定するのを支援する。ただし、国民には広くダウンロードされなかった。さらにAppleの「iOS」デバイス上では、アプリがバックグラウンドで実行される際にBluetoothが停止するため、うまく機能しない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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