Appleは2010年に、新たに発表した「iPad」タブレット向けに「A4」という独自チップを開発したことを明らかにしてテクノロジーの世界を驚かせた。そして2020年、同社は「Mac」に搭載するプロセッサーを自社開発チップに切り替えると発表して、再び世界を驚かすかもしれない。
この動きは、Appleが少なくとも一部のMacで、Intel製プロセッサーの搭載をやめていこうとしていることを意味する。Appleは2005年にIntel製プロセッサーへの切り替えを発表、それ以来「MacBook Air」などにはIntel製品が使われてきている。
Bloombergが米国時間6月9日付けの記事で報じたところによると、Appleは6月中に開催予定の開発者向けカンファレンス「WWDC 2020」で、Macのプロセッサー切り替えに関する計画を正式に発表する予定だという。同カンファレンスは現時点で、6月22日からオンラインで開催予定。ただし独自開発プロセッサー発表のタイミングについて、Bloombergでは新型コロナウイルスの感染拡大がAppleの生産体制に影響を与えていることから、変更になる可能性があるとしている。
Appleは、Macに自社開発チップを搭載することで、さらに小さく、薄く、しかもバッテリー駆動時間の長い製品を実現することが可能になる。同社はIntelとの提携関係を維持しつつ、これまではノートPCの温度を低く保つための新しいファンや「ユニボディ」と呼ばれる継ぎ目のない筐体、薄型画面やヒンジを実現する新しいキーボードなどを設計してきた。
業界観測筋によれば、AppleがMacにも高い評価を得ている同社の「Aシリーズ」チップを搭載できるようになると、エネルギー効率の高い製品が実現可能になるという。
同社の最新チップ「A13 Bionic」は「iPhone 11」や「iPhone SE」に搭載されている。このチップは、Armのデザインをベースに同社が独自開発したもの。Armの設計は、サムスン、Qualcomm、Nvidiaが開発するチップの基盤としても採用されている。
AppleによるIntel離れの動きは、何年も前からうわさが流れていた。たとえば2018年4月には、Appleが「MacBook」と「iMac」用に独自プロセッサの開発を進めていると報じられていた。実際にこの移行が進められれば、Macに関しても、iPhoneやiPadに似たプロセッサー戦略が採用されることになる。
Bloombergによると、Armベースのチップを搭載するMacをAppleがテストしたところ、Intelチップを搭載するこれまでの端末よりも、グラフィックス性能と人工知能(AI)を使用するアプリで改善が見られたという。この新チップを搭載すれば、Macノートは将来的にさらに薄く軽量になる可能性もあるという。
Appleは、少なくとも3種類のMacプロセッサーを開発中で、これらを搭載する最初のMacは、2021年に登場する可能性があるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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