新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ウイルス対策を目的とした多数のイノベーションが生み出されている。そうした新しい取り組みの1つが体温モニタリングパッチで、この技術が職場に復帰する従業員らの発熱を検知するのに役立つ可能性がある。
Reutersの記事によると、小さな絆創膏ほどのサイズのこのパッチは携帯端末と連動し、これを肌に貼ることによってその人の体温を監視できるというもの。発熱は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状の1つだ。
マイクロチップの設計を手掛けるSkyWater TechnologyとLinear ASICs、そしてニューヨークの投資会社Asymmetric Return Capitalの3社からなる企業グループが、このパッチを開発した。3社は、人工知能(AI)ソフトウェアを開発するSensiMLと家庭での医療ケアを提供するUpward Healthの2社と緊密に連携している。
「職場復帰の条件として体温チェックが至る所で行われるようになっているため、安価で非接触型の体温計の国内供給が不可欠だ」と、Asymmetric Return Capitalの創設パートナーであるBryan Wisk氏は、Skywaterが米国時間5月26日に出したプレスリリースの中で述べた。「SkyWaterとLinear ASICsにより、ワイヤレス温度感知タグの量産が可能になった。これにより、体温を遠隔監視して症状のある人を自宅待機させることができる」(Wisk氏)
しかし、サーマルカメラや顔認識などによって従業員を監視し、ウイルスの感染経路を追跡することのできる技術に対する需要の高まりとともに、これらの技術に対してプライバシー侵害を懸念する声も上がっている。米国家安全保障局(NSA)の内部告発者であるEdward Snowden氏などのプライバシー擁護派は、政府による行き過ぎた監視の危険性を警告しており、この公衆衛生上の危機が終息しても現行の対策が縮小されることはないと主張している。
米自由人権協会(ACLU)も、プライバシーと公衆衛生が相互につながっていることを指摘し、人々は自分のデータが保護されないと考えれば、COVID-19関連のアプリや技術を利用しないと述べている。Pew Research Centerの2019年の調査では、米国人の70%が、自分の個人データは現在、これまでの5年間よりも安全ではないと感じていることが明らかになった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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