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スペースリー、問い合わせが対前年比5.2倍に--コロナ下の非対面不動産営業をVRで後押し

加納恵 (編集部)2020年05月25日 07時00分
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 「非対面」「密閉、密集、密接の3密を避ける」など、新型コロナウイルス感染拡大を受け、仕事のやり方は大きく変わった。飲食店や接客業が大きな影響を受け、それは不動産会社も同様だ。

 賃貸、売買不動産ともに、お客様への物件提案から、同行しての内見、契約書のやりとりまで、不動産会社の業務はあらゆる段階で対面が必要になる。そのため新型コロナウイルスの感染が日本でも報告されはじめた2月辺りを境に来店客が減り、内見への問い合わせも少なくなってしまったという不動産会社は多い。そんな市場を受け、問い合わせが対前年に比べ5.2倍と急増したのがVR内見を実現するスペースリーのVRクラウドソフト「スペースリー」だ。

2019年同期比でのコロナによるパノラマVRへの影響
2019年同期比でのコロナによるパノラマVRへの影響

 「2016年のサービス開始以来、改善改修を進め利用者数は右肩上がりで伸びてきたが、今ほど大きく伸びたケースはなかった。少し前まで『VRとは何か』という一般的な問い合わせが多かったが、ここ最近は『どうやったら導入できるのか』など具体的な問い合わせをいただけるケースが増えた。VRに対する理解の質が変化してきたと感じている」とスペースリー 代表者の森田博和氏はここ最近の変化を話す。

スペースリー 代表の森田博和氏
スペースリー 代表の森田博和氏

 スペースリーは、VRコンテンツをURLを使って、お客様と営業担当者など同時に見られるVRクラウドソフト。VRコンテンツを見ている視界を同期して共有できるため、VR空間内で「リビングルームからの眺望を見ている」「収納周りの内見に時間をかけている」といったアクションがわかることが特徴。これについては、独自の特許技術になっており、複数人でVR物件を同期でき、双方向のアクション伝達できるものが、5月からは資料共有やチャットやビデオ会議が含まれるWeb会議システムに一体となって組み込まれての提供も始めた。

 スペースリーへの問い合わせは、4月に入り顕著に現れ始め、緊急事態宣言に伴うリモートワークの推進もあり、4月時点で前年比5.2倍にまで増加。これと同時にお客様のコンテンツ閲覧数は同3.3倍、不動産会社によるVR制作数も1.2倍へと増えたという。

 「閲覧数は1月以降、順調に増えていて、4月時点では対前年比3.3倍まで跳ね上がった。閲覧数の増加は、まさに不動産会社の方が物件情報を掲載したい、発信しようという思いの掛け算。コンテンツ制作数が増えたからこそ、これだけ見られるようになった」と、コンテンツ制作の重要性を説く。

 コンテンツは、不動産会社の担当者が360度カメラを使って物件を撮影し、それを元にVRコンテンツを制作。森田氏は「ここ最近の制作数は増加しており、それは、直接的な内見が難しくなった今、VR内見のメリットを皆さんに感じていただけているから」と変化を受け止める。

「スペースリー」のサービス画面
「スペースリー」のサービス画面

 担当者の撮影に加え、スペースリーでは首都圏、大阪、福岡近辺を専門スタッフが3500円程度で撮影を請け負う、代行サービスも用意。撮影機材となる360度カメラも2~5万円程度で「物件の撮影がVRコンテンツ制作のハードルにはなっていないはず」と森田氏は分析する。

 「今までVRコンテンツ制作のハードルになっていたのは、オペレーションコスト。担当者は日々の仕事で忙しく、VRを制作するための撮影の優先順位がどうしても高くなかった。しかし新型コロナウイルス感染拡大を受け、VRコンテンツが入居に結びつくケースが増えてきた。不動産会社の方の業務を変えるのは大変なこと。しかしこのタイミングだからこそ、VRコンテンツに取り組もうという変化があったように思う」と話す。

お客様と不動産会社の間コミュニケーションをサポートしたい

 今回の新型コロナウイルス感染拡大防止のため、スペースリーでも2月下旬からリモートワークに切り換えている。「営業、サポートについては、オンラインを使っているため、従来と同等のビジネスができている。逆に遠隔同期などの機能は説明がしやすく、リモートでうまく行っている。今まで『やはり直接会ってお話したい』と言われるケースもあったが、今回のことを機にリモートで、という流れも構築できつつある」と、ビジネススタイル自体も変化してきているという。

 今後の課題は、アフターコロナ後の情報の取り扱いだ。「スペースリーで言えばVR内に多くのコンテンツを埋め込むことで、そこから得られる情報が数多くある。現在でも、VRコンテンツ内のクリックや滞在時間を集計し、どの部屋、写真、コメントにユーザーが興味を持ったかをグラフ化し、『閲覧者の興味分析』として提供しているが、実際に接客してこそわかるちょっとした機微などを理解することは難しい。VR内見が一般化されるに従い、そうしたデータも取得し、お客様と不動産会社間のコミュニケーションをサポートしていきたい」とする。

 また、「非対面での営業接客方法のビジネスモデルの確立、360度3Dモデル化によるホームステージングの自動生成などにも活用していきたい。VRは便利じゃなければ使ってもらえない。その部分を強化していきたい」とさらなるとビジネスの広がりを描く。

 スペースリーの調査によると、新型コロナウイルスの悪影響を感じている不動産会社は、3月中旬時は64%、4月には87%と増加し、その影響が拡大しているとのこと。非対面での接客の重要性が高まる中、スペースリー独自のVRウェブ接客システムの無償提供を実施している。当初は6月末までを無償提供期間としていたが、当面の間に切り換え、より広い支援を目指す。

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