風邪の治療法を研究中とされるアマゾンの極秘プロジェクト「Gesundheit」

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2020年03月21日 07時30分

 Amazonは風邪の治療法を探求するプロジェクトにひそかに取り組んできた。

 CNBCによると、「Project Gesundheit」と呼ばれるこの「長年にわたる」構想は、同社の「Grand Challenge」グループによる取り組みだという。

 ほとんどの場合、風邪はライノウイルスと呼ばれるウイルスよって引き起こされる。風邪の治療法の探求は1950年代に始まったが、非常に多くの種類(少なくとも160種類)のライノウイルスが存在するため、すべての病原体に対応し、ワクチンや単一の治療法としてまとめられるような「万能」の方法を見つけるのは難しい、と科学者たちは考えるようになった。

 しかし、Amazonのチームは、自ら進んでこの課題に取り組んでいる。

 この問題に詳しい複数の情報筋がCNBCに述べたところによると、Project Gesundheitのメンバーは科学者や研究者で構成されており、風邪に対する免疫を人々に与える方法を見つけたいと考えているという。風邪によって、米国経済では1年あたり推定400億ドル(約4兆4000億円)の損失が生じているとされる。

 風邪の治療法を克服するため、ワクチンのほかにも、さまざまな代替手段が検討されている。

 問題は、ライノウイルスが時間とともに進化し変異することだ。そのため、現存するウイルスだけではなく、新種のウイルスにも対処できる「治療法」が必要になる。

 さらに、ベンチャーキャピタリストのMike Pellini氏がCNBCに語ったように、生体医学に根ざした治療法を採用する場合、薬は副作用がほぼないものにしなければ、服用する価値はない。風邪をひいても、通常は1~2週間で回復するからだ。

 また、米国を含む各国で医療保険会社が治療費を支払うのかどうかについても、議論の余地がある。

 Grand Challengeは、Amazonが公表していない研究開発グループだが、医療を含むさまざまな人道的問題の解決に注力している。

 ただし、風邪の治療法を探求しているのは、Amazonのチームだけではない。2019年、スタンフォード大学とカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)、それにFacebook最高経営責任者(CEO)のMark Zuckerberg氏と夫人が資金提供した非営利団体のChan Zuckerberg Biohub、米退役軍人省の医療団体のひとつであるVA Palo Alto Health Care Systemの研究者らが、ライノウイルスを含むさまざまなウイルスの定着を阻止するためのプロジェクトを発表した。

 細胞内の重要ではないタンパク質を改変することにより、風邪の原因となるウイルスを含むさまざまなウイルスの複製を阻止できる可能性がある。

 この研究を記録した論文の上席著者であるJan Carette氏は、「私たちは祖母からいつも、『それほど賢いのなら、なぜ風邪の治療法をまだ見つけられないの?』と言われてきた」と言い、「でも今は、それを見つけるための新しい方法がある」と続けた。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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