折りたたみ式スマートフォンに対する関心は、もっぱらヒンジ部分と、ディスプレイを完全に平らに折りたためるかどうか、ということに集中している。「Mate X」が外側に折り曲がるのも、「Galaxy Fold」の内側に不格好な隙間があるのも、そのためだ。クラムシェル型の「Galaxy Z Flip」とMotorolaの「Razr」は、それぞれ異なるヒンジを使用して事実上の回転半径を最小限に抑えているが、完全に平たくなるわけではない。
ロール式スマートフォンならこの問題を回避できる。巻いた状態から引き出されるだけなので、隙間なく閉じるように折りたたむ必要がなく、折り目を避けるためにヒンジを工夫する必要もないからだ。そもそも折り目がなくなる。
もちろん、巻き取って縮めれば普通のサイズのスマートフォンになる。
これをもっと大きいデバイスに採用すれば、応用範囲も広がるだろう。タブレットを取り出して、フルサイズのモニターにまで広げるといったことも考えられる。
TCLにとっては、ロール式スマートフォンは、注目を集めるのによい選択肢かもしれない。同社は長年、「Alcatel」ブランドで低価格スマートフォンを製造してきたほか、「BlackBerry」ブランドの端末を販売する契約も結んでいる。だが、TCLという名称自体は、スマートフォンではなく格安(ただし、きわめて高品質な)テレビのブランドのイメージが根付いている。
また、TCLの廉価路線はすべてのユーザーにとっても、極めて有望なことだろう。同社のグローバルマーケティング担当ゼネラルマネージャーであるStefan Streit氏によると、折りたたみ式やロール式を、市場のほかの折りたたみ式と比べて30~40%は安価にリリースしようとしているという。
もしそうなったら、Galaxy Z Flipの価格が1380ドル(約14万円)であることを考えれば、大きな差別化要因になるはずだ。
ただし、好ましくない材料もある。TCLはこうした折りたたみ式のコンセプトを1年前からたびたび公開してきた。コンセプトは実にクールだが、まだ、固唾をのんで発売を待つという段階には至っていない。Streit氏も、リリースは2021年の前半になるだろうと予測している。
Streit氏によると、同社は現在36種類のプロトタイプを抱えているということなので、ロール式が生き残るという保証もない。
だが、TCLが話題に上りたければ、ロール式をロードマップに載せるのは賢い選択であるはずだ。ユーザーは皆、これまでと何か違うものを期待しており、ロール式スマートフォンはまさにその期待に応え、なおかつ理にかなったものになる可能性を秘めている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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