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新規事業開発を加速する「Throttle」の実力--Relicが“インキュベーションテック”で描く未来 - (page 2)

藤井涼 (編集部) 日沼諭史2020年03月10日 08時00分
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工数削減とともに「アイデア×人材」の形で評価する企業も

——Relicが新規事業開発を支援するクライアントは必ずThrottleを導入する必要があるのでしょうか。

北嶋氏 : 既存のお客様にはほとんどご利用いただいていますが、もちろん必須ではなくて、Throttleを使っていないと支援ができないわけではありません。ただ、これがあると明確にお互いが楽になると自信を持って言えるので、推奨はしていますね。まず前提として工数削減や業務効率化という観点だと、導入されている企業のほぼ全てで成功していて、顕著な例だとは70%以上もの工数削減につながっているそうです。

 とはいえ我々はツールベンダーではありませんから、その手前のインキュベーション戦略の策定やIRMの方針策定、プログラムや制度の全体設計や、事業アイデアを磨くためのメンタリングやアドバイスを提供しつつ、泥臭い仮説検証やテストマーケティング活動なども伴走しています。そういった支援に加えて、Throttleやその運用を統合的に提供しているのが強みだと考えています。

——Throttleの導入メリットとしては、今おっしゃったように工数削減による効率化が大きいかと思いますが、それ以外にも何かありますか。

北嶋氏 : Throttleで無駄な管理工数を削減するのは最低限の価値であり、前提として、大事なのはその削減して浮いた工数やリソースを活用して、どのように新規事業開発を促進し、その成功確度を高めていくかだと考えています。我々としては、その分をぜひIRMの考え方に基づいた制度運用やイノベーター人材、事業リーダーの支援につぎ込み、より攻めの姿勢でイノベーション創出を加速させていただきたいと考えています。

 また、とある企業ではThrottleを活用して、発案当初のアイデアがその後どのくらい洗練され、進化しているかをログやデータから可視化していたりします。そうすることで、アイデアだけではなく、アイデアを構想した事業リーダーが顧客からのフィードバックや周囲のアドバイスなどを柔軟に取り入れ、素早く仮説検証や事業化に向けて行動できる人材かどうかを明確にし、評価指標に入れていたりするんですよ。こうすることで、アイデアも人材も大幅にレベルが上がったのです。

 なので、アイデアの中身だけで評価するのではなくて、アイデアと、それを出した人材の性質や特徴、行動の状況なども含めて総合的に評価する。「アイデア×人材」のような形で評価していくことで、その新規事業の成功確度が上がり、進捗がスムーズになるというメリットもあります。

——人材という観点からも評価を加えることができるというのは新鮮ですね。

北嶋氏 : ここがまさにイノベーター人材のタレントマネジメントですよね。事務局やIRMの実践者側からすれば、会社の中に眠っていたイノベーター人材の方々を抜擢し、育成や活躍を促すことができるわけです。その人材と定期的にコミュニケーションを取り、その人材にさらなるイノベーションを起こしてもらうための環境整備に役立てていただけるのもThrottleの強みだと思っています。

——Throttleは「事業アイデア創出~構想・プラン策定」のフェーズで活用するツールとのことでした。その後のフェーズも含め、全体の進捗を管理していくことができるとさらに強力なソリューションになりそうですね。

北嶋氏 : その機能をまさに開発しているところです。今は事務局・IRM実践者向けの機能が中心になっていますが、今後のアップデートでは順次事業リーダーやプロジェクトチーム側で上手く新規事業のプロジェクトを推進していくための機能を追加していくつもりです。

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 新規事業開発のプロセスがきちんと進んでいるかどうかといったプロジェクトの進捗を管理するとともに、事業プランを整理し、仮説検証の状況を可視化して、次に取るべきアクションをレコメンドする等です。こうした機能は年内には提供できるようにしたいと思っています。

——そうなれば、まさに新規事業開発のすべてのプロセスを一元的に管理できるようになるわけですね。

北嶋氏 : 普段我々が新規事業開発支援を行う際に提供する様々なソリューションを、いずれはこのサービス内で完結できるようにしたいですし、最終的には日本にある全企業の新規事業開発において必要な機能をワンストップで提供できるようにしたいと思っています。プロトタイプ製作やテストマーケティングの際にも、今は状況に応じていろいろなツールを使い分けているのですが、やっぱり面倒なんですよね。ここもほとんどの企業が苦慮しているところですので、簡易的にプロトタイプ製作やテストマーケティングができる機能も実装する想定です。

 このようなアップデートによって、現状は大手〜中堅規模の企業の方々を中心に導入いただいていますが、今後は中小企業やベンチャー企業、個人事業主も含めたより多くの方々にも使っていただけるサービスになると確信しています。

——今は御社スタッフが担っているメンタリングなどが、いずれはAIやデータを元に自動化され、企業独自に新規事業開発を進められると。

北嶋氏 : たとえば過去データの蓄積の中から、ある顧客セグメントに対して仮説検証の手段としてこういう調査方法を採択して、そのときこういう結果だった、みたいなデータや事例が大量に貯まってくれば、それを元に適切なアクションを自動で提示することも、一定のレベルまでは人の手を介さずにできるようになる可能性が高いと考えています。

 あるいは「こういう技術を使いたい」と思ったときに、必要な情報を入力したら、関連する世界中のアイデアや競合の情報を表示したり、プロフィール情報やログデータに加えて、イノベーター人材かどうかを判断する診断ツール等と連携して、その情報を加味してタレントマネジメントができるようにしたり、というのも考えられます。

 あとは、本当に人が介在しなければいけないところだけ、個別で支援する。本サービス上で仮説検証の状況が可視化されて、次に取るべき行動が明確になるだけでも価値としてはすごく大きいんです。仮説検証が大事だと頭ではわかっていても、いざ実行しようとすると、やっぱり現場は迷走してしまうんですね。可視化されていないが故に、今やるべきことではないことやったり、時間をかけすぎてしまったりするので。

——中堅以上の企業が導入の中心とのことでしたが、小さい企業でも利用できるものなのでしょうか。

北嶋氏 : もちろん無料で使えるフリープランからご活用いただいてもいいですし、今後のアップデートで新しい機能が順次実装されていくので、それこそ個人事業主の方が自分のアイデアを整理して進捗管理していくためのサービスとして使っていただくことも可能になると思います。

——新規事業開発とは関係のない用途にも活用できるんですね。

大丸氏 : すでにThrottleを目安箱的に使っている会社さんもいらっしゃいます。新商品のアイデア募集みたいな用途で活用していたり、デザインコンペや社内の既存事業の改善案を募ったり、掲示板的に仲間を募ったりコミュニティとして機能しているところもありますね。

——最後に、新規事業開発を進めている、あるいは検討している企業に向けてメッセージをいただけますか。

大丸氏 : たとえば、高齢者向けの新規ビジネスをみなさんよく発想されるのですが、アイデアは良くても、どうアプローチするかを聞くと、検索エンジンやSNSに広告を打ちますと。でも70歳、80歳の高齢者がネットの広告なんかほとんど見ないわけで……。それが使えないとなると公民館とか介護施設に行ったりするわけです。結局みなさん同じ足跡をたどって高齢者にアプローチしようとするんですね。

 こういうノウハウや経験って、それが事業として上手く進捗しなかったらどこにも残らず、また同じように再発明しながら頑張っていくことになる。それは無駄じゃないですか、と感じることがよくあるんです。多くの企業様の新規事業を支援している我々としては、他社さんでこういうアプローチをしたときにこういう結果になったから、今回のケースではこうした方がいいですよ、と言えるのですが。

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 ただ、それは我々の中にノウハウやデータが貯まっていくだけで、本来はその会社さんのなかに貯め続けていくべきものなんですよね。会社さんによっては、新規事業開発のプロセスごとに、発生しがちな“壁”みたいなものを全部記録しているところもあります。

 そのときにどういう対応をしたのか、それでどういう結果になったか、使ったツールやドキュメントの類いも全部記録して貯めていっている。これからはそういったものもThrottle内で貯めていけるようにしていきたいと考えています。

北嶋氏 : Throttleは社内での新規事業開発とオープンイノベーションの双方に対応していますが、どちらかというと社内で利用した方がより価値は出せるかなと思っています。先ほどお話ししたように、タレントマネジメント、人材育成の側面からも有効ですので、ベンチャー企業からアイデアを集めてマッチングするという使い方よりは、長く使っていただいてデータを貯めながら、人も育てていく、というようなスタンスの方がより高い価値を出せるだろうと思います。それこそ、IRMですね。

 オープンイノベーションは間違いなく有効な新規事業開発アプローチの一つです。ただ、流行も相まって魔法の杖であるかのように飛びつく企業様も多いのですが、成功させるには主導する企業にまず意志を込めて磨き上げた事業構想があって然るべきですし、泥臭い仮説検証や地道な実行や実装の繰り返しがすごく大事だったりします。でも新規事業開発を支援するほとんどの会社さんは、地味で大変なので、こういったいわゆるエグゼキューションの支援はしたがらないんですよ(笑)。弊社としては多くの会社さんがほぼできていないその部分を全体的に底上げしていきたいという想いもあります。テクノロジーとプロフェッショナルによる人的なソリューションの掛け算で支援していきたいですね。

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