ワコムのペンタブレット用ドライバーは、ユーザーがPC上で開いたアプリの名称をすべて追跡している――。このような調査結果を、ソフトウェアエンジニアのRobert Heaton氏が明らかにした。
数カ月にわたる調査を経て、Heaton氏は、ワコムの純正ドライバーのプライバシーポリシーには曖昧な記述があり、それに同意すると、ユーザーがデバイスで開いたアプリの名称を追跡し始めると指摘した。
Heaton氏の調査によれば、データは「Googleアナリティクス」に送信されているという。
ワコムのタブレットは、芸術家などのクリエイターによって、平らな表面上にペンを走らせ、本物のペンを使って絵を描くのと同じような感覚でPC上に描画するのに利用されているが、Heaton氏の説明によると「本質的にはマウス」だ。
「本質的にマウスであるデバイスには、いかなるHTTPリクエストも行う正当な理由がない」とHeaton氏は言う。
「PCで開いたすべてのアプリの名称を記録する行為がユーザーに受け入れられるとは、ワコムも本気で考えていないのではないだろうか。だからこそ、プライバシーポリシーではそのようなことをしていると認めていないのだろう」(同氏)
ただし、ワコム製ドライバーのプライバシーポリシーは同意が必須とされていない。ワコムのユーザーがプライバシーポリシーへの同意を拒んでも、ドライバーはインストールできる。
また、ドライバーをインストール済みのユーザーは、いつでもプライバシーポリシーをオプトアウトできる。
「ワコム製タブレットを持っている人は(この追跡機能はおそらくワコムの全モデルで利用可能になっている)、『Wacom Desktop Center』を開いていくつかクリックすると、この『Wacom Experience Program』を無効にする方法が見つかる」(Heaton氏)
ワコムはこの件に対し、「説明に不明瞭な点があったために誤解が生じている」として、データ収集の詳細を公式サイトで説明している。
当社ペンタブレット製品のユーザー体験の向上と、ユーザーのニーズにマッチしたより良い製品・サービスの提供のために、「Wacom Experience Program」を実施しています。その中で、同意いただいたユーザーの皆様から、Google Analyticsを用いて、当社ペンタブレット製品の使用状況に関する情報を収集し、統計データとして受領しています。収集された情報はGoogle Analyticsのサーバーに送信され、当社サーバーに送信されることはございません。ユーザーがドライバをインストールまたは更新する際に、エンドユーザーライセンス契約に同意し再起動した後、プライバシー通知の同意画面が表示されます。同意いただきこのプログラムにご参加いただくと、ワコムのペンタブレットドライバは、当社ペンタブレット製品のモデル名と使用状況および当該製品の使用中に使用されているソフトウェアの名称を収集します。
なお、MACアドレスおよび当社製品のシリアルナンバーは収集されません。このデータはGoogle Analyticsを通じて収集され、匿名で集計されるため、例えば、当社の開発およびカスタマーサポートチームは、ユーザーのペンボタンの機能設定(例えば、「右クリック」または「アンドゥ」)の集計を知ることができますが、特定のユーザーに関する情報を確認することはできません。Google Analytics(アプリ版)はIPアドレスを収集しますが、当社が当該IPアドレスを知ることはできない仕組みとなっております(https://support.google.com/analytics/answer/2763052)。また、使用されているソフトウェアで何を作成、制作または実行しているかを当社が知ることは不可能です。集計されたデータは、同意いただいたプライバシー通知に従って管理され、マーケティング目的では使用されません。
新たにワコムドライバをインストールまたは更新する場合、ユーザーは、「Wacom Experience Program」に参加しないことを選択でき、ドライバや製品の機能性能には一切影響を与えません。また一度ご同意いただいた方も、ワコムデスクトップセンターを開き、画面右上にある「さらに」を選択し、「プライバシー設定」を選択し、「Wacom Experience Program」をオフにすることで、いつでも同意を撤回し収集を停止することができます。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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